記憶しているのは「話の内容」より「印象」

① 部下たちに「こう見てもらいたいという印象」が残るように演出する

これは、自分が他者からどう見えているかを自主的に管理する「印象マネジメント」に関係します。

私たちは日々、さまざまな人たちとコミュニケーションをとります。その中で相手の話の内容はあまり覚えていなくても、相手の「印象」については意外と記憶しているものです。例えば「厳しそうな人だな」「いつもニコニコしている人だな」……というものです。

あなたは部下たちに、どのような印象を残したいかを考えたことがありますか?

初日の挨拶の前に、自分は部下から「こう見てもらいたい」という印象を固めておくことが重要です。

印象マネジメントは、「非言語」と「言語」の両面から組み立てていきます。

非言語とは、表情や声のトーン、話す態度、見た目や聞こえ方などから伝わる印象です。こうした非言語による印象づくりは、頭で考えているだけでは身につきません。鏡の前に立って、実際に挨拶のリハーサルを繰り返して、体に覚え込ませていきましょう。リハーサルの動画をスマホなどで録画しておいて、見直すのもいいでしょう。

オバマ元大統領が「チェンジ」と話した理由

コーチングセッションでも、上司に「堂々とした態度で、笑顔を浮かべたまま話してみてください」と、事前に練習をしてもらうことがあります。普段は対話を重ねるために使うコーチングセッションの時間を費やしてまで練習してもらうわけですから、「相手にどう見えているか」という非言語の要素がいかに重要か、おわかりいただけると思います。

2009年2月2日、バラク・オバマ大統領の画面のタイムズスクエア
写真=iStock.com/Jorge Duarte Estevao
※写真はイメージです

一方、言語での印象づくりでは、「どういう内容を話すか」もさることながら、「どういう言葉を使うか」、特にキーワードの選定が鍵を握ります。

アメリカの元大統領バラク・オバマ氏を思い出してください。彼のキーワードは「チェンジ」でした。他の言葉は覚えていなくても、それだけは覚えているという方も多いのではないでしょうか。このように後々まで記憶に残るキーワードを選ぶことは大切です。

例えばあなたが、「信用できる上司」という印象を与えたいとします。それならば「信用」というキーワードを挨拶の要所要所に入れ込んでいくのです。