海自の戦力では海警局に対抗できない
現在、海保は12隻の巡視船で尖閣領海警備専従部隊を編成し、尖閣諸島の警戒に当たっている。これについて、武装した海警局船舶に対処するためには、海保の巡視船だけでは対処できないため、海上自衛隊護衛艦の投入を求める声が上がっている。
しかし、現実にはすでに護衛艦は投入されている。尖閣諸島を遠巻きに航行する海自護衛艦は中国海軍艦艇の監視に投入されているのだ。
問題は海自の護衛艦が48隻しかないことだ(2020年3月末時点)。乗組員の休養や整備、訓練、ほかの海域における警戒監視活動などのため、現実に尖閣諸島周辺へ派遣可能な護衛艦はかなり限定される。
現在は中国海軍艦艇1隻につき、海自護衛艦1隻が行動の監視を行っている。海警局船舶と海軍艦艇の動きは連動しているとみられるからだ。
海保巡視船だけでは不十分な部分を海自護衛艦がフォローするといっても、護衛艦の数を考慮すると難しいのが現実だ。少子化の影響もあり艦船で勤務できる人員が減少の一途を辿っていることも、長期的には尖閣諸島の警備に深刻な影響を与えるだろう。
山頂にも灯台を設置し“行動”で主権を示すべき
仮に中国人が魚釣島へ上陸し、灯台を破壊したとしても、日本政府はこれまで通り、総理大臣や官房長官が好んで使う「厳重に抗議」「あってはならないこと」あるいは「断じて容認できない」といった口先だけの対応しかしないだろう。
日本政府の対応を見ていると、中国海警局の脅威へ対応する覚悟があるのか疑問に思う。日本は「行動」で自国に主権があることを示す必要がある。「行動」とは、例えば、魚釣島灯台をコンクリート製にするなどして強化することである。
魚釣島の灯台は山頂にも設置するべきだろう。韓国は竹島の頂上にコンクリート製の堅固な灯台を設置し、警備隊員40人とは別に灯台管理員を3人常駐させている。尖閣諸島を、もはや返還される見込みがない北方領土や竹島の二の舞にしてはならない。