検討委の5項目は「利害関係人」の基準にすぎない

今回の人事は非公開の候補者検討委員会で、

①五輪・スポーツへの造詣
②五輪憲章の理念への理解
③知名度と国際感覚
④これまでの経緯の理解
⑤組織運営能力と調整力

という5つの基準に基づいて議論された。

夏冬あわせて7回の五輪出場歴があり、四半世紀にわたって参院議員を務め、さらに19年からは五輪相を務めてきた橋本氏は、5項目に照らせば適任だ。ただし、今回、候補に浮上した面々は、多少の濃淡はあるが、いずれも5項目を満たした人物。橋本氏は「その中の1人」にすぎない。多くの候補から、首相官邸の意向を踏まえながら消去法による「内輪の論理」で選ばれた、ということではないか。

先の5項目が「利害関係人」の中での基準だったとしたら、女性蔑視発言に端を発したポスト森人事で、一般の国民が求めていた基準は別だった。おそらくこの4つだろう。

①女性のアスリートであるか
②森氏との距離感はどうか
③政治色が薄く中立性があるか
④スキャンダルなどの問題はないか

この国民目線の基準に照らして橋本氏の「適性」をみてみたい。