男は権力を持つほど話が長くなり、女が話すとそれを遮る
2012年に発表されたブリガムヤング大学とプリンストン大学の研究によれば、「男性が多数を占める会議において、女性一人当たりの発言時間は、男性一人当たりが話した時間の75%しかなかった」という結果だった。
ニュージーランドの研究では、公的な会議の場で、男女の数が同数だったとしても、3分の2が男性からの質問で占められた。どの研究をみても、会議や仕事の場などで、女性のほうが男性より多くしゃべるといった事実は見当たらない。
イエール大学の社会心理学者ビクトリア・ブレスコール氏は「権力を持つ男性が多くを話せば、人々はその人を雇ったり、投票したい、というように評価するが、女性が多くをしゃべれば、横柄だ、傲慢だ、押しが強いとみられるため、話す量を控えようとする」と分析している。
また、権力のある男性はない男性より多く話す一方で、女性の場合、話す量と権力とは関係がなかった。森氏は、「自分は話が長い」と自認していたが、まさに「話すこと」は自らの権力を示す行為そのもの、ということだ。
また、女性は常に男性から発言を遮られることがよく知られている。2014年のジョージワシントン大学の研究では、男性は男性に対して話すときより、女性に対して話すときは33%も話を遮る、という結果だった。
海外では、Manterrupt(Man+Interrupt=遮る)とか、Mansplain(Man+explain=説明する)といった造語がよく使われるほど、男性は女性の話に割り込み、女性に対して、エラそうに話をすることが大きな問題になっている。
トランプを見よ…「女は感情的だ」「女は論理的に話せない」もウソ
他にも挙げたらキリがないが、相手が鈍いからもう少し紹介しよう。
●自己主張をよくする男性CEOは、しないCEOより「仕事ができる」と評価される率が10%高かった。よく自己主張をする女性CEOは、しない女性CEOより、14%評価が低かった。(イエール大学)
●昇給を交渉する、隣人に音楽の音量を下げるよう依頼するなど、男女ともに同一の自己主張的な行動をした場合、女性は平均して男性よりも大きく評価を落とす。(スタンフォード大学)
といったように、コミュニケーションのジェンダーバイアスが女性のリーダーシップの大きな妨げになってきた。そうした偏見が、昇給を求めて交渉する割合は男性が52%に対し、女性はたった12.5%(カーネギーメロン大学)といった結果に結びついている。
他にも、「女は感情的だ」「女は論理的に話せない」などとしばしば言われる。だが、アメリカのドナルド・トランプ前大統領とドイツのアンゲラ・メルケル首相のどちらが感情的で、どちらが論理的だろうか。こうした、間違ったレッテル貼りが女性の声を上げにくくさせているのに、「女性が手を上げない」とまるで、女性が悪いかのように言う企業幹部や政治家は少なくない。