蔑視発言でつるし上げ森喜朗会長「女性はしゃべりすぎる」は正しいのか
元総理で、東京五輪・パラリンピック組織委員会長の森喜朗氏(83)は2月3日の日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、「女性の多い会議は時間が長い」といった発言をしたことに対して、翌日、謝罪し発言を撤回した。
この女性蔑視発言には、日本人だけではなく、世界の人々が反応した。ワシントンポスト、ニューヨークタイムズなど世界の主要メディアがこぞってその発言を取り上げ、ソーシャルメディアのコメント欄は
「この化石はもう口を閉じるべきだ」
「いったい今何世紀?」
「彼が、女性が長くしゃべりすぎると考えるのは、彼が女性は全くしゃべるべきではないと考えているからだ」
「全く日本は遅れた国だ」
「日本は性差別の国だ」
筆者としては控えめに言って、日本の恥部を世界にさらしてしまった、そんな気分だ。ましてやこの人が日本の五輪の顔だというのだから、絶望的な気持ちになる国民も多いだろう。
バッシングを鎮火させるべく臨んだ4日の釈明会見はむしろ火に油だった。反省の色は見えず、辞任も拒否し、単なる失言として、「撤回する」としただけ。「声が聞こえないからマスクを外せ」と記者に指示し、しまいには逆切れする始末だ。
ひょっとしたら、本人はそんなに問題のある発言だったとは思っていないのかもしれない。
「『女はおしゃべりだ』と言っているだけで、当たり前の常識じゃないか」。そんな感覚だ。会見で、「何が不適切だったのか」と記者に聞かれ、「男女の区別するような発言をした」と答えた。「区別であって、差別はしていない」との認識らしい。
しかし、この発言は、単なる失言ではすまされないことがわかっていない。その鈍さを残念に思う。恐ろしく時代錯誤的で、性「差別」的なのに。
多くの科学的研究で否定されている「100%間違った認識」
森氏が言う「女性はしゃべりすぎる」は正しいのだろうか。
結論から言えば、下記に列挙する論文の通り、その考えはあらゆる科学的研究から否定されてきた「100%間違った認識」である。
声を上げようとする女性を、常に封殺してきたのは男性で、実は男性のほうが「しゃべりすぎ」であるという認識が全くない。さらに、そういった偏見によって、女性が手を上げ、声を上げにくい風土が作り上げられてきたことを理解できていない。
確かに、女性のほうが男性に比べて、会話力は高いといったことは科学的にも実証されている。しかし、それが、無駄話が多い、しゃべりすぎだということにはならない。数多くの研究が、その逆を真理だと結論づけている。