このように管理のユルさで得た恩恵がたくさんあったのです。掘り起こしPCRで市中の無症状陽性者を発見し、警察が取り締まったりしていたら、悪影響の方が甚大でした。診療も出産(計画)も見送らざるを得なかったかもしれません。

変わらない日常が心身を守る

診療以外でも、私は何も気にせず新型コロナのPCR検査で陽性だった方や濃厚接触者になった方とも普段通り仕事をしてきました。

先日、ある方から「先月コロナ陽性だったのですが、お伺いしても良いですか?」と尋ねられた時は驚きました。「気にしないで一緒にお会いして仕事しましょう」と答えたところ、「普通に仕事していいかどうか心配でした。感動です」とおっしゃっていました。咽頭炎や胃腸炎、インフルが治ったことを気にする人はいないでしょう。新型コロナも、それと同じ話です。

感染が国内で広がり始めたころ、1歩でも外に出たらウイルスを吸い込むかのようにメディアが視聴者を脅していた時期がありました。しかし私は基準を守り仕事を続けました。私のように、フェイクを排してファクトに基づいて同じペースで仕事を継続してきた方も多いでしょう。

国が国民を信頼しちょうどいい制限を与え、民度の高い国民がそれに応えた日本式の勝利だと思っています。陽性者数とPCR検査を連呼するメディアは有害無用でした。

私は食材を買いにスーパーに出かけ食事に気をつけ外で外気の中で運動し、コロナ中に体調を整えました。海外のように、厳格にひきこもりを強要されていたら体だけでなく心の健康も損なっていたに違いありません。

車椅子に座る男性患者の世話をするマスクを着用した女性看護師
写真=iStock.com/Kiwis
※写真はイメージです

実際、ロックダウンなどの行動制限を強力に科しているフランスではうつ病が2倍に増えています(注18)。人間は、外に出て光を浴びて自然の中でリフレッシュしたり人々と会話をしたりして心身の健康を保っています。

強力な感染拡大予防対策やプライバシーの無い検査強要は、人間の尊厳や生き生きした生活を奪います。法律のもとに東京駅前や銀座で突然検閲が始まり肛門PCRのためにおしり出せと強要されて、何らかのウイルス陽性で隔離。それが平気でいられますか?

「罪なき疾患」で罰するべきではない

日本人は、よく同調圧力が高いと自嘲じちょうぎみに話します。私は、決してそんなふうに思いません。「出る杭は打たれる」文化などと語られますが、海外における優れた人への妬みや中傷は日本の比ではありません。