「商品の満足度」を使用前から高める方法

①②いずれも「新市場創造型商品」を生むアプローチで、定番商品への旅立ちです。本書は①をテーマとしています。

「新市場創造型商品開発」や「新市場創造型商品化」で商品コンセプトを新カテゴリー化したら、売上も利益も安定する未知の「聖域の市場」に向かって、カテゴリー代表度を上げていきます。定番商品となった時点で、「聖域の市場」は「今の市場」となるわけです。

この道筋を「定番化」とか「ブランド化」と呼びます。以上のように、①②いずれのアプローチをするにも、定番商品はコンセプトを考えることから始まる、ということをご理解いただけたでしょう。すべてのスタートは「何を作るか」「何をやるか」というコンセプトを決めることなのです。

ここで、図表4のC/Pバランスを今一度ご覧ください。商品力の構成要素の1つである「コンセプト力」は、消費者に期待を与えてニーズを刺激し、「欲しい」と思わせる働きを持ちます。すぐれたコンセプトは力が強いので、多くの人に欲しいと思わせ、大量の購入を促します。

その商品を買った消費者の満足は、図表中の「パフォーマンス力」によってもたらされます。その満足度は、コンセプトで与えられた「期待」と比較して、「期待以上」「期待どおり」「期待だおれ」のいずれかになります。つまり、コンセプトは満足の度合いにも影響を与えるのです。

なぜカビキラーはヒットしたのか

どうしたら定番商品を生み出せるのか。頭に浮かぶのは次の2つです。

①「商品上の問題」を解決する
②「消費者の生活上の問題」を解決する

先に答えを言ってしまえば、定番商品は、既存商品の「商品上の問題」を解決するのではなく、「消費者の生活上の(行動に伴う)問題」を解決することによって生まれます。この違いをよく理解してください。

商品上の問題は誰でもわかることなので、生活上の問題を、みなさんご存じの定番商品を例に見ていきましょう。

《定番商品》 《生活上の(行動に伴う)問題》
カビキラー 風呂場のタイルのメジのカビをいくらこすっても落ちない
スキンガード いつも注意していないと蚊にさされてしまう
固めるテンプル 古くなった天ぷら(+揚げ物)油の処理がめんどう
ジャバ ホース洗いでは風呂釜にこびりついた湯ドロは除去できない
サンスタートニックシャンプー 石鹸やシャンプーで洗っても、頭皮も気分もスカッとしない
カンターチ 従来の洗濯のりでは、アイロンがけ時に、のりづけできない
写ルンです 旅行でカメラを忘れると写真が撮れない
モンカフェ レギュラーコーヒーを家でいれるのはめんどう
ぐーぴたっ 空腹になるとおなかが鳴って恥ずかしい
GUM いくら歯を丁寧に磨いても歯周病は防げない
梅澤伸嘉『「梅澤式」だと、なぜ超ヒット商品がこんなに作れるのか』(1万年堂出版)
梅澤伸嘉『「梅澤式」だと、なぜ超ヒット商品がこんなに作れるのか』(1万年堂出版)

これら消費者の生活上の(行動に伴う)問題点を見ると、納得できると思います。これらを解決するのが、将来、定番商品となる新市場創造型商品なのです。

生活上の問題解決が新市場を生み出すでは、なぜ生活上の問題を解決すると新市場創造型商品が生まれ、いずれ定番商品になるのでしょうか。それは次のとおりです。

①商品上の問題を解決する⇨同じ商品が改良される
②生活上の問題を解決する⇨新しい市場が生まれる

商品上の問題を解決しても、既存品の改良にしかなりませんが、生活上の問題を解決すると、新しい市場が生まれます。それが新市場創造型商品の開発によってもたらされるのです。

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