「ホチキス」「セロテープ」は一般名称ではない

④先発商品であることが多い
定番商品の多くは「先発商品」です。つまり、新カテゴリーを作り、そこに最初に登場したということです。C/Pバランスがよければ、新カテゴリー商品の多くはロングヒットになる「新市場創造型商品」の条件を満たすのです。

⑤カテゴリーの代名詞
定番商品というと、多くの人は「カテゴリーの代名詞」というイメージをすぐにいだくでしょう。あるカテゴリー名を聞くと、そのカテゴリーの中の定番商品名が浮かびます。世の中には、一般名称として使っていたものが、じつは商品名だったということがよくあり、よく知られているところでは、ホチキス、セロテープなどがあります。

⑥多くの店に置いてある
定番商品はカテゴリーの代名詞になっているので、多くの店で扱われます。「配荷店率」が高いということです。その典型がコンビニエンスストアで、日用品の定番商品のほとんどが置いてあります。また、スーパー、ドラッグストア、デパート、あるいは小さな小売店でも、定番商品は必ずといってよいほど扱われています。

規模の大きい店では定番商品以外も扱いますが、小規模店では定番商品だけを扱うというのがほとんどでしょう。

⑦普遍のニーズに応えている
定番商品が応えているDoニーズ(生活ニーズ)は、長期間にわたって変わらず、ずっと続いているもの。つまり、流行のニーズではない、流行に左右されないということです。

⑧強いブランドになっている
ブランドは、カテゴリーの代名詞になっている商品のことですから、強いブランドとは「カテゴリーの代表度」が高いブランドのこと。まさに定番商品は強いブランドになっているのです。

以上の①〜⑧はすべて「新市場創造型商品」そのものの特徴です。

新しく市場を創造した商品はロングヒットすることが多く、シェアは長期間にわたってNo1〜3であり、C/Pバランスのよい新カテゴリーであり、先発商品であり、カテゴリーの代名詞になりやすく、配荷店率が高く、普遍のニーズに応え、強いブランドになっている、という特徴があるのです。

2つの方法で定番商品は育てられる

企業の商品がたくさん並ぶ中に、定番商品が1つでもあると経営は楽になります。

開発、製造、販売と続く流れにはすべて膨大なコストがかかるわけですが、2回目の製造からは開発費はいらないし、製造ラインを新たに作る必要もないし、販売ルートもほぼ敷かれているため、コストは何分の一かですみます。

ドル箱を成功させられれば、まさに当分安泰です。図表2で示しているように、何十年も独走する商品を揃えると、経営上のメリットは計り知れません。定番商品を作ることの重大さがおわかりいただけると思います。

・長期間、売上・利益が安定的に続く
・長期間、No1〜3のシェアが続く
・広告費、販促費が少なくても売りやすい
・強いブランドが持てる

これらの恩恵を得るためにも、商品コンセプト開発にすべてを凝縮していきます。

新カテゴリーで新市場を作る図表3は、新市場創造型商品を生んで定番商品に育てていくときの2つの方法を示しています。

①新市場創造型商品開発(図表の右下から上へ)
=1からコンセプトを作る
(今の市場の外に、今はない「新カテゴリー」の市場を作る)

②新市場創造型商品化4(図表の左下から右へ移ってから上へ)
=コンセプトを変える
(今の市場(激戦地)から脱して、今はない「新カテゴリー」の市場を作る)

これは、コンセプト発想法の行動アプローチかシーズアプローチによって「未充足の強い生活ニーズ」に応える商品コンセプトを作ることから始めて、新市場創造型商品を開発するアプローチです。

これは、「コンセプト発想法」の変身アプローチか代替アプローチによって、苦戦中の商品のコンセプトを変えることから始め、苦戦商品を定番商品に変えるアプローチです。いわば、売れなくて困っている自社商品のコンセプトに改良を加えて、定番商品に生まれ変わらせる方法です。