アーティスト等に「寄附」しながら減税できる

寄附金控除は、納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、特定寄附金を支出した場合に所得から控除できる制度である(所得税法78条)。また、政治活動に関する寄附金、認定NPO法人等に対する寄附金及び公益社団法人等に対する寄附金のうち一定のものについては、所得控除に代えて、税額控除を選択することができることとされている(租税特別措置法41条の18、41条の18の2、41条の18の3)。

今回の新型コロナ税特法においては、観客等が指定行事の中止等により生じた入場料金等の払戻請求権の全部又は一部の放棄を、令和2年2月1日から令和3年12月31日までの期間(指定期間)内にした場合には、観客等がその年の指定期間内において放棄をした部分の入場料金等の払戻請求権の価額の合計額(最高20万円)について、寄附金控除の対象(所得控除・税額控除)とすることとされた(新型コロナ税特法5条)。

「指定行事」とは、令和2年2月1日から令和3年1月31日までに開催予定であった文化芸術・スポーツに関する行事のうち、新型コロナウイルス感染症が発生したことによる政府からの要請を受けて中止等を行った行事であると認められるものとして文部科学大臣が指定するものとされている。具体的には、文化庁・スポーツ庁のホームページに随時公表されているので確認するとよいだろう。

特例を受けるには2つの書類が必要

この特例の適用を受けるためには、放棄をした翌年の確定申告において、原則として、確定申告書に次の書類を添付する必要がある(新型コロナ税特令3条、新型コロナ税特規3条)。

・指定行事認定証明書(指定行事に該当することその他一定の事実を証する書類)の写し
・払戻請求権放棄証明書(放棄をした入場料金等の払戻請求権の価額その他一定の事実を証する書類)

「払戻請求権放棄証明書」のひな形と記載例は文化庁のウェブサイトで確認してほしい。