「分析力」とともに「集中力」の質も変わる

分析という深い思考や洞察には、脳が活発に機能することが必要です。

思考を担う脳とトレーニングの関係で大事なことの一つが「呼吸」です。正しい呼吸で全身の血流が促されれば、酸素とともに脳にも十分血液が行き渡るからです。深い呼吸は、それだけで思考を穏やかに安定させ、クリアな状態でものごとを考えられる効果もあるでしょう。

そしてビジネスの起点として「分析力」とともに、もう一つ重要な力があると私は思います。

それはズバリ「集中力」です。

集中力というと、多くの場合、何かに没頭したり熱中して取り組んだり、それによってビジネスを迅速に行う力だとされます。その力も引き続き必要ですが、これからの時代はそれとともに、複雑な多様性のなかから最適・最善を「選択」し、パワーを「集中」させる力、つまり「選択と集中」という意味での集中力が重要になります。

2020年は世界全体がこれまでなかった事態に直面し、経済も変化を余儀なくされています。さまざまな業種が厳しい現実にさらされ、太刀打ちできなくなっています。トレーニング業界も早くから打撃を受け、世間の注目を浴びました。トレーニングはオンラインが前提になるなど手法が様変わりしています。

さらに、トレーニングやジム経営のライフサイクルも重なって影響しています。順調な成長曲線をたどってきたこの業界も、成熟期を迎え、やがてそう遠くない時期には衰退期へ移行していくでしょう。

「選択と集中」を行うために分析して見極める

ビジネスのライフサイクルでは黎明期、成長期、成熟期、衰退期、それぞれにふさわしい戦略があります。どんな選択肢のなかから何を選び、何を手放すのか、衰退期のあとは何を切り捨て、新たにどんな事業を興すかなど、各々の時期ごとに選択と集中が問われていくのです。

私個人は、もしかするとCompetitor(競合)が少ないと言えるかもしれません。経営学を専門的に学んでいるのも、一つの強みとなり得るかもしれません。

とはいえ、やはり業界や社会全体を見れば、この先どんな選択をし、何に集中していくか考えたりもしています。ジムやスタッフはもちろん、同じ仕事に従事する仲間たちのためにも将来性のある展開を見出したいと思っています。

こうしたことは皆さんにも起き得ることです。もう起きている場合もあるでしょう。「選択と集中」をする際に、選択肢の見極めすら、過去の前例からは判断できないこともあるかもしれません。そんなときでも、「仮説と検証」を繰り返すといった不変の方法もあると思います。ただし、これまでは一発でうまくいったけれど、これからは何度も繰り返して精度を上げる必要があるかもしれません。