消費全体では10月、11月は持ち直し傾向だったが百貨店は…
消費全体や、百貨店業界全体の動きをもう少し俯瞰的に見てみましょう。
図表2をご覧ください。新型コロナウイルスの影響でGDPの半分強を支える家計の消費支出も一時期は大幅に減少しました。その後、ウィズ・コロナの状況が続きましたが、全体的な消費支出は徐々に回復してきました。しかし、百貨店業界に限っていえば回復が鈍いのが分かります。
数字を細かく見ていきましょう。まず、「消費支出2人以上世帯前年比」という数字です。この数字は家計の支出を表す典型的な数字です。2019年9月は消費税増税前の駆け込み需要があり、大きく上がっていますが(9.5%)、増税後の10月(-5.1%)には大きく落ちています。
その後、ポイント還元などで消費を促しましたが、全年比数%のマイナスが続きました。そして、コロナの影響が大きく出始めた3月以降は、マイナス幅が-6%と一気に大きくなり、緊急事態宣言が出た4月は前年同月比で-11.1%、5月は-16.2%と大きく下がったわけです。先ほども述べたように、家計の支出がGDPの半分強を支えていますから、日本経済全体も大きく落ち込んだわけです。
しかし、巣ごもり需要もあり、10~11月の全体的な消費支出は、それぞれ1.9%、1.1%とわずかですが前年比プラスにまで回復しています(ただし、前年の2019年10~11月は、消費税増税の影響で落ち込んでいたということもあります)。
例えば、家電などの製造販売をするアイリスオーヤマでは、2020年12月決算の速報値で、売上高が前年比で38%増の6900億円、経常利益は2.2倍の621億円で、ともに過去最高と絶好調です。家庭内を快適に居心地よくするために多くの人が支出したのでしょう。
また、日清食品ホールディングスなどの一部食品メーカーも業績を上げています。日清食品では、9月までの第2四半期までの数字ですが、売上高が前年度比で8.9%増の2411億円、営業利益は61.5%伸びて318億円です。人々が外食を控えステイホームで食事したことで業績を伸ばしている会社もあるわけです。