冬は「室温」と「湿度」を両方保つことが重要

また、エアコンを使用して乾燥が気になるときには、加湿器を併用すると◎。湿度過剰もよくないが、「乾燥」は睡眠の質の低下や、感染症リスクの上昇、要介護度の悪化を招く。

「私たちの研究で湿度30%以上か、それ未満かで比較すると、30%未満の乾燥している介護施設は、なんと2倍も要介護度が悪化しやすかったのです」(伊香賀教授)

感染症対策の観点からは50~60%の湿度がいい。インフルエンザウイルスの6時間後の生存率を調べた研究では、室温22度、湿度50~60%で生存率が低くなるという結果であった。冬は「室温」と「湿度」を両方保つことが重要なのだ。

ちなみに加湿器には「気化式」や「スチーム式」「超音波式」などがあるが、運転コストが安価なのは気化式である。どのタイプを使用するにしても雑菌の繁殖を防ぐため「水道水」を使い、毎日水を交換すること

また、たとえ暖房によって室温が18度以上に保たれていたとしても、冷気は下にたまりやすい特性がある。特に断熱性の低い住宅では、窓からの冷気が部屋の下層に流れ込む。これを「コールドドラフト現象」と言う。

「足元が寒い群では、そうでない群と比べて1.5倍も高血圧で治療を受ける可能性が高くなる」と伊香賀教授。

ほかにも足元が寒いと自律神経に悪影響を与えたり、子供の活発性が低下してしまう。

アルミ製の窓に、樹脂製の内窓を付けるといい

効率よく暖房器具を使用するには、住宅の断熱性を高めることが重要だ。リフォームまでいかなくても、室内の熱の半分以上が逃げる窓に対策を施せば、室温は下がりにくい。

暖房器具とあわせて考えたい住宅の断熱

「既存のアルミ製の窓に、樹脂製の内窓を付けると熱を通しにくくなります。自宅内のすべての窓に取り付けるのが難しければ、使用頻度の高いリビングや寝室に取り入れるだけでも断熱の効果が実感できるでしょう」(加藤氏)

内窓は1カ所につき、数万円程度。それが難しい人は、割れ物の梱包に使うようなプチプチのシート(気泡緩衝材)を窓に貼り付けても効果がある。