「いつ何を買えばいいか」を考えずに済む方法

一方、多少なりともリスクを取れる人、あるいはリスクを取れる一定額までのお金がある人であれば、国際分散投資ができる投資信託を毎月一定額で積み立てながら購入していくのがよいでしょう。

大江英樹『定年前、しなくていい5つのこと 「定年の常識」にダマされるな!』(光文社)
大江英樹『定年前、しなくていい5つのこと 「定年の常識」にダマされるな!』(光文社新書)

投資で悩ましいのは「何を買えばよいか」そして「それをいつ買えばよいか」ということです。でも投資が職業や趣味という人であればともかく、ごく普通の人がこれらを調べるために時間を費やすということはなかなか難しいでしょう。

それに、時間をかけたからといって必ずうまくいくという保証はありません。それならこの2つを考えなければいいのです。

つまり、何を買えばいいかわからないなら、世界中の株式市場に投資をする国際分散投資型の投資信託を買う。いつ買えばいいかタイミングがわからないのであれば、タイミングを考える必要はありません。それを毎月定期的に積み立てで買えばいいのです。

このやり方が一番よいかどうかはわかりませんが、少なくとも自分で投資対象とタイミングをあれこれ考えて気を揉みながらやるよりは安定した収益は得られそうです。

少額でもいいから国際分散投資ができる投資信託を買うべき

たとえば図表1をご覧ください。これは過去30年にわたって毎月1万円ずつを積み立てながら、国際分散投資のできる投資信託を購入し続けていればどうなったかの図です。

【図表】国際分散投資型の投資信託の例
出所=国際分散投資⇒MSCI ACWI(Morgan Stanley Capital International)
表は開始日から終了日まで、期初および毎月末に1万円ずつ、MSCI ACWIに、積立による国際分散投資した場合のそれぞれの最終金額を計算しています。取引に係る手数料・税金は考慮しておりません。

30年間では3.54倍、2012年からの6年間でも1.42倍になっています。これは2018年9月末までの積立投資の結果なので、現時点(2020年11月)ではさらに増えているでしょう。

いずれも大儲けではありませんが、少なくともこの間の物価上昇をはるかに上回る結果になっています。やはりそれなりに一定の効果はありそうですから、資産の一部をこうした国際分散投資に振り向けるのも決して悪くはないと思います。私も2012年に退職して以降、ずっと積み立てで国際分散投資を続けています。

このように、定年後の投資は儲からなくてもいいのです。焦ってリスクを取り過ぎるようなことは避けるべきでしょう。平均寿命を考えた場合、定年後も20~30年の人生があることを思うと、ゆったりと積み立てしながら投資をするだけで十分だろうと思います。

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