だいたいの人が投資で冷静さを失う

②感情の制御ができない

投資がうまくいかない最大の原因は、感情に動かされてしまうことです。「なーに、株なんて簡単だよ。下がった時に買って、上がった時に売りゃあ儲かるんだから」と言う人がいますが、実際にやってみるとそんなに簡単ではないことに気が付くでしょう。

下がった時に買うべしというのは正しいのですが、ほとんどの人は下がるとうろたえてしまい、場合によっては売ってしまいます。逆に上がった時には冷静になって売った方がよいケースも多いのですが、嬉しくなって買い増しをしてしまう。

投資は自分の感情との戦いであり、いかにそれを制御するかが重要なのです。それを理解しないまま安易に投資を始めると、必ず失敗します。

私は投資をするのなら、できるだけ少額で若いうちから少しずつやるべきだと思っています。少額であれば失敗してもダメージは小さいですし、小さい失敗を繰り返すことで、投資を学ぶことができるからです。それに若いうちであれば失敗したとしても、また働いて稼げばリカバリーすることはできます。

ところが、定年退職者が投資で失敗をしてしまうと、取り返しがつきません。だからこそ、「退職金投資デビュー」は絶対やってはいけないことなのです。

とはいえ、定年後に投資を始めたいと考える人は一定の割合でいるでしょう。ではそういう人はどうすればいいのか?

投資は別に儲からなくてもいい

退職金投資デビューはやってはいけないとお話ししましたが、退職した人が投資をしてはいけないわけではありません。一度にまとめて退職金を株式投資などにつぎ込むことを避けるべきなのであって、投資そのものが悪いということではないのです。

それに、投資は別に儲からなくてもよいのです。こう言うとおそらくみなさんは「え、どうして? だって投資は儲けるためにやるんでしょ」と思うはずです。その通り、たしかに投資は儲けるためにするのです。ただ、忘れてはいけないのは、儲けを得ようとすると必ずリスクが伴うということです。

ここで言うリスクとは「結果が不確実であること」を指します。すなわち、「投資をした結果、儲かるか損するかはわからない、そしてたくさん儲けたいと思ったらたくさん損する可能性も同じようにあるということを忘れてはいけない」ということです。

どれぐらいリスクを取れるのかは人によって異なります。定年になった時に金融資産を数億円も持っていて、退職金は純粋に余裕資金だという人であれば、それなりにリスクを取って儲けることにチャレンジしてもいいでしょう。でもそんな人はほとんどいないはずです。