「プリント→押印→PDF化」という笑えない業務フロー
デジタル化と言いながら、霞が関の役所では少なからず、パソコンで作った文書をプリントアウトして押印し、さらにスキャナーで読み込んでPDF化するといった笑えない業務フローを実践している。押印の廃止、というのは実はこんなところから出てきている話なのだ。
前述の提言で導入すべきだと指摘された「ツール」は民間ならば「常識」とも言えるものだろう。だが、問題は、霞が関の官僚たちの意識改革ができるかどうかだ。いまだに「情報」を握ることが「権力」を握ることだと考える政治家や幹部官僚は少なくない。情報ツールの活用で組織がフラットになれば、事務次官や局長の「権威」が低下すると考える官僚たちは、デジタル庁によって仕事の仕方が変わることに抵抗するに違いない。
パソコンやSNSを駆使する政治家は増えてきたが、国会にはテレビ会議が可能な部屋が参議院に1つしかないと言われる。「デジタル庁設置」によって霞が関の仕事の仕方が変わり、行政の生産性が劇的に変わるかどうか。菅内閣の真価が問われる。