「とりあえず良さそうな会社」を志望する感覚は危険
なぜなら、以前のような終身雇用が保証できなくなるからです。それに呼応して今後、学生に求められるのが、会社に頼らずとも生きていける“個の力”です。
時代の流れも踏まえると、「大手に入っておけば、ひとまず安心」「有名企業なら親を喜ばせられる」といった旧来型の価値観で企業をなんとなく選んでしまうことは、大きなリスクとなります。
自分の将来が決まるかもしれない選択にもかかわらず、多くの学生がこれといった判断軸がないまま会社を決めていることに、私は非常に危機感を覚えています。
企業選びをする際は、「やりたいことがある人」と「やりたいことが特にない人」で、まず分かれます。
大前提として伝えたいのが、「やりたいことがある人」は、ぜひそちらの道に進んでもらいたいということです。
飛行機にすごく興味がある、観光業界でずっと働きたかった、本を作る仕事がどうしてもしたい。そういう方は、どうぞその道に進んでください。それが一番幸せになれると思います。
ただ私の経験上、実際は多くの人が「これをやりたい」というビジョンが明確にはなく、就活の時期がきたから「とりあえずこれかな」と決めています。それが世の大多数ではないでしょうか。
実際、私も就活時は「マスコミがいいかな」とぼんやり思っただけで、マスコミでなければいけない絶対的な理由はありませんでした。
そして、やりたいことの特にない人がよく陥るのが、「とりあえずよさそうな会社」を志望することです。
その「よさそう」の基準が“大手”だったり“年収が高いこと”だったりするわけですが、そうした感覚は本当に危険だと思います。
大学生が考える「30歳で年収600万」は恐ろしい
たとえば年収に関して、就活時には「30歳で年収1000万円に到達したら超勝ち組だけど、そこにはいけないから、ひとまず30歳で600万円くらいの会社にしよう。600万円でも悪くはないのだから」といった価値観を持つ人が多いと思います。
でも、30歳で600万円、40歳で800万円という生き方も否定はしませんが、大学生の時にその人生に決めきることは、かなり恐ろしいことだと思ってください。
加えて大手やそこそこ大手の企業に進み、これでひとまず安定した人生を歩めると思っても、実は出向や左遷、リストラなど、安定の人生をそのまま歩める人はほとんどいません。