「人生100年時代」の豊かさを決める

このクランボルツによる研究結果を、日本の現在の就業状況と照らし合わせてみると、大きな課題が浮かび上がってきます。図表1を見てください。これは主要先進国の勤続年数別の労働人口構成比を整理したものです。

【図表】主要先進国の勤続年数別の労働人口構成比
画像=『ビジネスの未来』

一見してわかるように、日本では「1年未満」の構成比が、平均と比較して極端に少ないことがわかります。

山口周『ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す』(プレジデント社)
山口周『ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す』(プレジデント社)

わかりやすく言えば「一度勤めた会社で長く働く傾向がある」ということです。「一意専心」「石の上にも三年」といった古い価値観にしばられた人にとって、この状況は好ましいように思われるかもしれませんが、こと「いろいろと試して自分の人生を見つける」ということを考えてみた場合、これは大きな阻害要因となります。

特にこれから「人生100年の時代」がやってくると、多くの人々は人生の中で何度かのキャリアチェンジをせざるを得ないのですから、自分がどのような活動に夢中になれるのか、逆にどのような活動にはシラけるかを、いろいろなことを試してみた上できちんと把握しているかどうかで、その人の人生の豊かさは大きく変わってしまうことになります。

【関連記事】
まもなく絶滅する「普通のサラリーマン」を待ち受ける三重苦
バカほど「それ、意味ありますか」と問う
イノベーションを起こそうとしてイノベーションを起こした人はいない
「いまタワマンを買ってはいけない」お金のプロがそう助言する理由
タワマン「年収10倍住宅ローン」の末路