ドイツは原発を止めたい一心で敏感だった「景観」も無視
一方のドイツはすでに3万本もの風車を立てているが、まだまだ足りないとして四方八方にハッパをかけている。建設を加速するため、さまざまな工夫がなされており、国土はおのずと“ぐちゃぐちゃ”になりつつある。あれほど景観に敏感な人たちだったのに、なぜ、こんなことになっているのか理解に苦しむ。ひたすら原発を止めたい一心だ。
日本では今、3年に一度の「エネルギー基本政策」の見直しが始まり、産業界の代表から原発を重視すべきという声が上がった。今までにはなかったことだ。
エネルギーは安全保障という国の根幹に関わる分野だ。なのに、これまで日本の世論は、エネルギーの重要さをあまりにも軽視し続けてきた。しかし、エネルギー貧国の日本、ここらへんで目を覚まさなければ、国富がさらに失われるばかりか、いずれ国の独立さえ保てなくなる。
政治家は票を失わないよう「民意を尊重」と言っていれば良いかもしれないが、国富が損なわれたり、国の独立が危ぶまれたりして困るのは国民だ。だから、エネルギーに関しては、ドイツではなく、オランダに理があることに私たち自身が気づき、正しい「民意」を形成していかなければならないと思う。