冬の暖房器具はなにを選ぶべきか。ジャーナリストの笹井恵里子氏は「仕事のパフォーマンスを高めるためには、定期的に空気をきれいにすることが大切。一番空気を汚してしまうのが、石油ストーブなどの開放型燃料器具で、早稲田大学の田辺新一教授は『室内で石油ストーブは、欧米ではあり得ない話』と断言しています」という――。
※本稿は、笹井恵里子『室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる』(光文社新書)の一部を再編集したものです。
換気をしないと、仕事の効率も成績も落ちる
オフィスの換気にまつわるクイズです。
換気をしすぎると暖冷房のコストがかかります。暖冷房を優先しすぎると空気の質が悪くなり、健康被害(アレルギー症状など)につながります。どれくらいの頻度であれば、コストと健康のバランスのよい適切な換気ができるでしょうか。
①10時間に1回
②1時間に1回
③1時間に2回
④2時間に1回
①10時間に1回
②1時間に1回
③1時間に2回
④2時間に1回
まずは図表1を見てください。村上周三氏による調査で、20~40代の社会人を換気量が小さい部屋と大きい部屋に分け、論理系、暗記系のテストをしたものです。この調査によると、なんと「換気量(大)」のほうがすべての項目において5~9%も成績がよかったのです。
「対象者は一級建築士の資格試験受講者、いわゆる勉学に対するモチベーションが非常に高い社会人のため、学習意欲の有無が測定結果に与える影響は小さいでしょう。また、受講者には室内の環境条件を調整していることを知らせず、先入観による影響を極力排除しました」
にもかかわらず、「換気量(小)」の条件から「換気量(大)」にすることで、点数にすると論理系科目では4.7点、暗記系科目Ⅰでは6.4点も向上したのです。
すし詰め状態で会議を行うと眠くなるのがいい例
基本的に、外よりも室内のほうが空気は汚れています。人間がその“汚染源”で、その空気が滞留するために起こります。代表的な空気の汚れは二酸化炭素。特に人数が多いと二酸化炭素濃度は短時間で推奨濃度レベル(800~1500ppm)を上回りやすく、空気の質を低下させます。すし詰め状態で会議を行うと眠くなるのがいい例でしょう。
仕事パフォーマンスを高める点でも定期的に空気をきれいにすることが大切なのですが、今年は新型コロナウイルス感染症の感染防止対策としても「換気」に注目が集まりました。しかし、換気をしすぎれば、冷暖房のコストがかかってしまいます。どの程度の換気を行うとよいのでしょうか。