20年使用したカーペットを持ち込むと、能率が10%程度落ちる

また、換気以外にも空気の質を保つためには、室内の清掃、換気口やエアコンのフィルターなどの手入れが大切です。

デンマーク工科大学が行った研究で、室内のラックに20年使用したカーペットを持ち込むと、タイピストの能率が10%程度落ちるという報告があります。カーペットはタイピストからは見えない位置に置かれたものの、空気の汚染、何となくにおうという状況が生産性に影響したと分析されているのです。

同じく同大の別の研究で新品の換気フィルターで外気量を増やすと知的作業効率が6%アップするが、古いフィルターでは8%も低下するという報告もあります。

仕事をする部屋の“空気の質”を常に意識したいですね。

ドイツであれば室内で石油ストーブを使うと訴訟問題になる

冬場は暖房器具によっても、空気の汚れ具合が変わってきます。

一番空気を汚してしまうのが、石油ストーブなどの開放型燃料器具。田辺新一教授は「ドイツであれば室内でこれを使うと訴訟問題になるほどで、欧米ではあり得ない話」と言います。

「昔の隙間風があるような日本家屋で使うならともかく、現代の気密性の高い集合住宅で石油ストーブを使用すると、室内の一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物の濃度が相当に濃くなり、危ないです。一酸化炭素中毒で死亡する恐れもあります」

石油ストーブは、部屋の中で“焚き火”をしていると思ってください。暖をとるためにどうしても必要なら、1時間に1回は窓を開けて部屋の空気を総入れ替えしましょう。あまり大きな声で言えませんが、実は私もマンション内で石油ストーブをずっと使用していたのです。じんわりと暖かくていいんですよね。それにエアコンで暖房をかけると乾燥が気になっていました。

ところがエアコンによって乾燥しているわけではないということが取材でわかりました。石油ストーブからは有害物質だけでなく、燃焼時に「水分」も排出されています。だから、エアコンで暖房をかけた場合、石油ストーブと比べて室内が乾燥しているかのように感じられるのです。