「○○Tech」といわれる業界に注目すべき理由

現時点でいえば、目指すべき企業は「DX」と「人材多様化への対応」というキーワードで探すべきだ。

DXとも略されるデジタルトランスフォーメーションとは、ITを活用してビジネスモデルそのものを変えようとする取り組みだ。つまりこれまでの常識を、ITの力で大きく変えてしまおうというものであり、その先には成長率と収益率改善が意識されている。時には、業界そのものを破壊して作り直すようなことを考えている企業もある。

具体的にどんな企業を目指すべきだろう。企業ごとのIR資料など、公開されている情報を見てもあまり詳しいことはわからない。企業の実態についても、経営分析に慣れている人ならいざ知らず、普通のビジネスパーソンにとってはなかなかハードルが高い。ではどう探せばいいのか。

それは、DXに取り組もうとする企業を顧客にするような会社をまず探せばよい。そしてそれらの会社が、どこの業界、どこの会社をターゲットにし、どんな実績を上げてきたのかを確認すべきだ。DXに取り組む企業を顧客にする会社、DXを支援する会社の探し方でわかりやすいものは、○○Techといわれる業界を探すことだ。

スマホを使用するビジネスパーソン
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たとえば教育業界のDXとしてEdTech(エドテック)がある。経済産業省が「未来の教室」などの取り組みを進めたことでも有名だが、多くの先進的な教育関連企業が、教育サービスのデジタル化を促進している。おりしも2020年初頭のコロナショックの折、いち早くリモート教育に転換できた会社はそもそも早い段階からEdTechに取り組んできていた。

電子マネーもFinTechの一部

FinTechも聞いたことがある人が多いだろう。ブロックチェーン技術をベースにしビットコインなどの暗号通貨が知られているが、もともとは国際間の送金サービスなどから広まっていった。現在広がっている電子マネーもFinTechの一部として考えることができる。今後、現金流通が激減するという予測もある中、実物の金銭ではない、デジタルな通貨を当然とする社会が到来するとすれば、成長可能性が極めて高い。

弊社セレクションアンドバリエーションが手掛ける、人事領域でのHRTechも現在広まりつつある。現状ではまだ採用業務プロセスの効率化や、人事評価領域のプロセス改善、評価結果の分析などの活用にとどまっているが、業績に貢献できる優秀人材を可視化するタレントマネジメントや、コミュニケーション促進によるモチベーション向上に寄与するアプリなどの浸透が期待されている領域だ。