「超整理」シリーズなどで知られる野口悠紀雄氏は、2019年には書籍を9点刊行した。なぜそんなことが可能なのか。野口氏は「必要なのは、『とにかく始める』こと。準備ができてから始めるのでなく、準備がなくとも始める。これはどんな仕事にも言えることだ」と説く――。(第2回)
情報を集めればテーマが見つかるわけではない
文章を書く際の鍵となる「適切なテーマ」や「よい質問」は、どうしたら見いだせるでしょうか? テーマは何もしないでいるときに天から降ってくるものではありません。また、テーマ探しをやれば必ず見つかるというわけでもありません。「ボタンを押せば適切なテーマが示される機械」などというものも、ないのです。
よいテーマを見つけるためには、「つねにテーマ探しを意識し、さまざまな情報を捉え、考えに考え抜く」ということしかありません。探して探して、探し続けるのです。「たくさんの情報を収集すればテーマが見つかる」というわけでもありません。あまりに大量の情報を集めれば、情報洪水に飲み込まれて、方向を見失ってしまうでしょう。
私は『「超」文章法』(中公新書/2002年)において、「テーマの発見は8割の重要性を占めているにもかかわらず、明確な方法を見いだすことができない。具体的な方法はない」と書きました。では、この問題については、全く答えがないのでしょうか?