「超整理」シリーズなどで知られる野口悠紀雄氏は、2019年には書籍を9点刊行した。なぜそんなことが可能なのか。野口氏は「テーマを見つけるには、日頃から質問をたくさん持つことが重要だ。だから私は質問がなくなってしまうことを最も恐れている」という――。(第3回)
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テーマを見いだすための「質問ジェネレーター」

何について書くのか、テーマを自動的に見いだすテーマ発見器はありませんが、その近似物「質問ジェネレーター」を作ることはできます。この方法の要点は、異質な考えに接する機会を作り出すことです。自分1人の考えに閉じこもっていては、質問はなかなか出てきません。質問は、異質な考えに接することによって出てくるのです。

具体的な方法として、異質な考えに接するために最も効率的なのは、本を読むことです。そして、そこに述べられている考えに対して質問をすることです。もっといえば、そこで述べられている考えに反論することです。それによって問題を掴むことができます。

これは、普通考えられている読書法とは異質なものです。多くの人は、本から教えを受けようとしています。つまり、著者から知識や考え方を学ぼうというのです。しかし、ここで推奨している方法は、そうした受け身の読書ではなく、もっと積極的なものです。最初から喧嘩腰で本に臨むのです。本に対して批判的な態度で接し、異議を唱えようとするのです。

私は、アメリカで大学院の学生として勉強していたとき、図書館の本を読んでいて、「この考えは間違っているのではないか?」といった類の書き込みがあるのを見て、大変興味深く思いました。考えてみると、昔から、多くの人が本に書き込みをしていました。

なお、カレントトピックス(時事問題)については、新聞や雑誌の記事について、同様のことを行なうことができます。