依頼によって新たな関心を見出すこともある
友達同士で問題を作っていたこともあります。マーティン・ガードナーの数学パズルが面白かったのは、問題の設定が面白かったからです。私は、いまでもたくさんの質問を持っています。そして、さまざまな方法によって、これらの質問に対する答えを見いだそうとして努力しています。
例えば、つぎのような質問です(これらは、新型コロナウイルス期以前の日本経済に関するものですが)。
・人手不足なのに、なぜ賃金が上がらないのか?
・日本企業の売上高は伸びていないのに、なぜ利益が増えるのか?
・日本の産業は元気がないのに、なぜ株価が上昇するのか?
原稿依頼やインタビューなどで、私がそれまで関心を持っていなかったこと、あるいは漠然としか意識していなかった問題を示されると、大変ありがたく思います。そのことについて関心を寄せることになるからです。
ただし、それは、具体的なテーマを示された場合であって、「日本経済の問題点について」とか、「技術の新しい進展について」といった漠然としたテーマでは、このようなことにはなりません。「いかにしたら生産性を高められるか?」、「いかにしたら豊かになれるか?」では、問題の設定が広すぎ、漠然としているため、答えを出すことができません。有意義なのは、操作可能な形で設定された問題なのです。