文章を書く力を身につけるにはどうすればよいか。「超整理」シリーズなどで知られる野口悠紀雄氏は「重要なのは、何について書くか、つまりテーマを見つけ出すことだ。適切なテーマが見つかり、問題を設定できれば、仕事は8割はできたといっても過言ではない。そのために私はとにかくメモを取り、質問を考える」と説く――。(第1回)
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書くことは「大変な作業」ではない

文章を「書く力」は、著述業とか作家と呼ばれる一部の人たちだけが用いる特殊な能力ではありません。たとえば、ビジネスパーソンは事業計画のプレゼンテーションや会議のための報告書、議事録などの作成において、文章を書く力が必要とされます。また、ウエブに文章を発表するのは、いまではきわめて容易になっています。書く力を身につけることができれば、ビジネスにおいてもプライベートにおいても、発信力は強化されます。

私は、2019年には書籍を9点刊行しました。そして、現在ウエブ連載を5本書いています(うち4本は毎週、1本は隔週)。苦労の連続であることは事実ですが、執筆を「大変な作業」とは思っていません。それは本を書くという作業をIT(情報通信技術)、とくにクラウド技術の助けを借り、また、音声認識というAI(人工知能)の力を用いて行なう仕組みに組み上げているからです。