保険で資産形成は可能なのか?
次に、家計にとって、おそらく最も痛いのが、保険での資産形成をもくろむことです。手数料等の諸費用が高いからです。生命保険料控除による税の軽減効果を考慮しても、デメリットのほうが大きいはずです。
提案書・設計書・保険証券などで加入から1年後の返戻率(解約返戻金÷既払い保険料)を確認するとわかります。
大幅なマイナスであることが多いはずです。通常、契約から10年間、「解約控除」があるからです。保険会社が契約初期に発生した諸費用(販売手数料等)の未回収分を、経過年数に応じて、お客さまの積立金から差し引いて解約返戻金を支払う仕組みです。
ツケは加入者に回る
契約初期に多額の費用が発生するのは、営業部門の動機づけを強くしたい保険会社の都合であるにもかかわらず、加入者にツケが回るのです。
したがって、1年後の返戻率が低い契約ほど、初期費用が高く「運用に回るお金が少ない」「自己資金が大きく減った状態から運用が始まる」と判断できるのです。
たとえば、保険料を米ドルなどの外貨で運用する「外貨建て保険」の月払い契約の場合、1年後の返戻率がゼロというケースもあります。
このような契約では「1年目の保険料は、ほとんど運用に回らない」と見られるのです。「1年でマイナス100%」の場合、他の費用が一切発生しないという非現実的な想定のもとに、20年で均しても毎年マイナス5%の逆風を受けながらの運用になるわけです。「論外だ」と即断できるでしょう。