新型コロナウイルスの感染者が全国的に急速に増加している。「いざ」というときに備えて気になるのが「保険」だ。年末調整を機に、保険の見直しを考えたサラリーマン諸氏も多いだろう。著書『いらない保険』(講談社+α新書)が現在8刷と話題のオフィスバトン「保険相談室」代表・後田亨氏が、2021年に向けた保険見直しのコツを教示する。(第1回/全2回)

コロナ禍第3波のなか「家計を助ける保険の見直し」

「コロナ禍の影響で収入が減り、今までみたく高額な保険料は払えません。保険の見直しをしたいです」
「もともと、月に数万円も払う必要はないと思っています」

今年の春以降、保険相談にいらした方とこのようなやり取りをする機会が増えました。

収入減などが保険見直しのきっかけになるのは残念なことです。ただ、第3波のさなかにあって、家計の改善に役立てると実感もしています。以下、あらためて、見直しのポイントを整理しておきます。

笑顔の老夫婦がエージェントと握手を交わす
写真=iStock.com/fizkes
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「老後」と「保険」の相性は最悪

保険料負担の重さに苦しむ人たちには、次のような共通点があります。

①「老後の保障を充実させたい」と考えている
②保険で「資産形成」を行おうとしている
③「保険販売に携わる人」に相談している

まず、老後の保障について、複数の保険会社で商品設計に関わってきた60代の方の言葉を引用しておきます。

「老後の医療費などは、健康保険と自己資金での対応が基本です。同世代の知人や友人にも『民間の保険で備えると高くつく』と助言しています」

その通りだと思います。老後と保険の相性は極めて悪いからです。

保険の利用が最適なのは、現役世代の世帯主が子供が自立するまでの一定期間、万が一に備えるような場合です。死亡率が低いので、安い保険料で大きな保障を確保できます。

老後の保障は逆です。高齢になるほど、入院するリスクなどは高まります。大病にかかる人も増えますから、手ごろな保険料で手厚い保障を得られるはずがないのです。