「カツ丼」を「親子丼」にすると……

ここで行き当たるのが「300kcal分の食事、あるいは運動とは?」という疑問だろう。

例えば、ご飯一膳が約200kcalなのでその1.5杯分だ。しかし、運動を併用するのであれば、糖質は運動の大事なエネルギー源でもある。イメージとして、人間の体は最初から予備タンクは使えないので、ある程度はしっかり、運動前に糖質を補給しておいたほうがいい。

とすると、脂質を減らすほうがカロリー制限上は有効だ。例えばカツ丼(1000kcal)を、親子丼(700kcal前後)にかえると、それだけで300kcalの削減。卵やベーコンの入ったカルボナーラ(約850kcal)を、あさり入りのボンゴレや明太子スパゲティ(約550kcal)にすると、やはり300kcalの削減になる。コーラなどの甘い清涼飲料水を飲む習慣があるならそれを止めたり、ポテトチップスなどの菓子類を控えることでも同等のカロリーオフになる。

親子ドン
写真=iStock.com/kyonntra
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このような食事の選択は、コンビニであれば成分表示表のラベルや、チェーン店であればメニュー表に記載されているカロリー量で判断できるだろう。もしそれがない場合も、最近は無料で使用できる「カロママ」や「あすけん」などのダイエットアプリがある。それらをダウンロードしておくと便利だ。

一方、運動で同等のカロリーを消費しようとするとどうなるか。運動の消費カロリーはメッツ(運動強度)×体重kg×運動時間×1.05で表され、運動によってメッツが決まっている。体重78kg時点の私であれば、時速8kmのゆっくりペース(約8メッツ)で30分ジョギングすると300kcalちょっとだ。

ただしこれもいちいち記憶・計算するのは面倒なので、スマートウォッチの消費エネルギーの測定機能を試してみるといい。安価なものであれば1万円ほどで購入できる。

食事のセーブか運動、このどちらかを毎日、続けること。そうすれば5kgの脂肪は理論上、減らすことができる。

そしてほぼ予定どおりの4カ月で、私の体重は71.7kg、体脂肪率は12.3%になった。さらにそれをもう2カ月ほど続けたところ、筋肉量は増えて体重74kg、逆に脂肪量は減って体脂肪率8.9%になった。この期間に筋トレの量を増やしたことが功を奏したようだ。筋肉量が増えれば基礎代謝が増えるため、それだけやせやすく、太りにくくなるのだ。

ダイエットのハッカーを目指そう

ここまで理解はできても、納得できない人もいるかもしれない。実際のダイエットでは「続ける」ことが何よりも難しいことは、経験者なら誰もが知っていることだからだ。

もちろん、その対策も必要だ。私が心がけているのが、SNSへの投稿。なぜSNSに投稿するのか、これにも科学的な根拠がある。

東京大学院医学系研究科准教授で健康格差対策を専門にする近藤尚己医師は「SNS上のソーシャルインフルエンスも、現実世界の人間関係同様、健康に大きな影響を与えると考えられる」とする。

「例えば『ダイエットします』と宣言することで力を得るコミットメント効果という心理学的効果がある。また、ダイエットする様子を投稿して“いいね!”をもらうことをモチベーションにするうちに『どうすればより“いいね!”がもらえるかな』とさらに努力するようになるのは“ゲーミフィケーション(ゲーム化)”の一種で、ナッジとしても有効です」(近藤医師)

ナッジとは「健康になることを後押しする」要因。自然とダイエットができるような仕組みを作ることが、「続ける」ためには有効ということだ。他にも私はLINEで友人たちとその日の食事内容やトレーニング内容を報告し合うグループを作るなど、ダイエットをハック(攻略)する方法を駆使して臨んだ。