食事をセーブしながら有酸素運動と筋トレ

では、どのように300kcalの摂取カロリー<消費カロリーを実現するか。

取り組んだ方法はいたってシンプル。「食事をセーブしながら有酸素運動と筋トレをする」、これだけだ。

前述のガイドラインには、肥満症治療において「食事療法を必須とし、運動療法を併用すると効果が高まる」と記載されている。やせたいのであれば、食事へのアプローチが基本ということだ。

なぜかというと「食事のほうが圧倒的にパワーがある」から。これは北里大学北里研究所病院の内分泌・代謝内科部長で糖尿病センター長の山田悟医師を取材したときの言葉だ。

「私たちは1週間に20回くらい食事をするわけですよね。一方、一般的な社会人であれば、運動はがんばっても週1~2回に留まるのではないでしょうか。頻度からしても、食事を改善する優先度が高いことは明らかです」(山田医師)

そうした意識を持ち、併用して取り組むべきは有酸素運動だ。

順天堂大学医学部代謝内分泌内科学講座教授の綿田裕孝医師も、私の取材に「運動療法において、メニューの主体になるのはエネルギー消費量を高めやすい有酸素運動」であると答えている。

夜に自宅でマシンを使い運動している男性
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ファスティングの問題点

ただし、注意点もある。人間の体がエネルギー不足になったとき、都合よく脂質だけが使われるわけではない。筋肉が分解され、そのたんぱく質がエネルギー源になってしまうことがある。筋肉量が落ちると基礎代謝と呼ばれる、生きているだけで消費されるカロリーが下がるだけでなく、ボディラインが崩れることにもつながる。

これこそがよくある“ダイエット法”、ファスティング(プチ断食)の問題点だ。絶食の期間に、本当は減らしたい脂肪ではなく、筋肉が減ってしまうとしたら。ちょっとぽっこりした下腹はそのままに、他の部分の皮がたるんできてしまう、なんてこともあり得るのだ。逆に、これらを防ぐのが筋トレだ。

「レジスタンス運動、いわゆる“筋トレ”は筋肉量を増やすことによって基礎代謝を増やすため、トータルのエネルギー消費量を増やし、減量に有利になります」(綿田医師)

34歳男性で、記者という仕事柄、運動以外の身体活動量が比較的多い私の摂取目標カロリーは1日約3000kcal。1日に必要なエネルギー量は例えば日本医師会のサイトで簡単に計算できるので、試してみてほしい。

これを1日約2700kcalにするか、1日に300kcal分余計に消費するように有酸素運動をしながら、筋肉量が落ちないように週に2~3回の筋トレを続ければ、4カ月後には割れた腹筋が手に入っていることになる。