都道府県などが実施する「公共職業訓練」を受講して
修了まで失業給付をもらう!

60歳で定年退職をした後、可能な限り長期間にわたって雇用保険をもらいたい。何かいい方法はないだろうか――そんな虫のいい話を考えている人もいるはずだ。実は、いい方法がある。「公共職業訓練」を受けるという方法だ。ハローワーク(公共職業安定所)では、受講すると入学金や受講料が最高で10万円還付される「教育訓練給付金」という制度を実施しているが、この制度とは異なるので注意したい。

公共職業訓練というのは、大きく分けて2つあって、ひとつは都道府県など自治体が運営しているもの。現在では「技術専門校」といった呼び方をされている。大半が3カ月、または6カ月コースだが、探せば1年、2年のコースもある。事務職系よりも現場系の仕事が中心。筆記試験、面接試験が行われるのが一般的だ。

給付金をもらって資格がとれる職業訓練

給付金をもらって資格がとれる職業訓練

そして、もうひとつが何かと注目を集めている厚生労働省の外郭組織「独立行政法人雇用・能力開発機構」が運営する職業訓練プログラム「ポリテクコース」だ。ポリテクセンターという職業訓練専門施設で訓練が行われることが多い。一般的に3カ月、6カ月だが、まれに1年コースもある。電気技術者、金属加工、溶接工といった現場系が多い。ここも筆記試験や面接試験が行われるが、地域などによっては書類審査とハローワーク担当者の裁量で訓練が受けられるケースもある。

さて、この公共職業訓練を受けるには、ハローワークに求職登録し、現在仕事をしていないことが条件で、必ずハローワークを通じて申し込むことになっている。失業給付を受給中、または手続き中の人にとっては様々なメリットがあり、簡単に列記すると――、

(1)失業給付を受けながら職業訓練を受けられる……雇用保険の受給資格があるうちに公共職業訓練を受講すると、失業給付が訓練修了まで延長される。
  (2)受講料が無料である……教育訓練給付金は最高でも10万円だが、こちらは全額無料が原則だ。
  (3)実践的な知識や技術が身につく……特殊な分野のスキルを、短期間で身につけられるカリキュラムが多い。
  (4)給付されるのは失業給付だけではない……寄宿手当(家族と別居して学校に通う場合)、通所手当(交通費)、受講手当(訓練を受けた日の日当)などが支給される。自己負担は、教材代や作業服代などが必要。ちなみに、東京都では2007年4月以降から、1年以上のコースが有料化されている。
  (5)失業給付の認定手続きを代行してもらえる……失業給付を受け取っている間は認定手続きが面倒だが職業訓練校で手続きを代行してくれるので便利。

ちなみに上の図は定年退職以降、こうした制度を最大限に活用して、各種給付金を継続的にもらうケースをシミュレーションしたもの。在職老齢年金と雇用保険、そして賃金のバランスをとりながら活用することだ。ポイントは公共職業訓練をいかに長く使うかだが、2年の職業訓練には大学院クラスの研究課程なども少なくない。職業能力開発のリーダー養成などもあり、今後の人生を変えそうなものも多い。多様な方向性がありそうだ。