賃金+高年齢雇用継続基本給付金を
28万円以下に抑えればトリプル受給が可能!
定年退職後に働く場合、目減りしてしまうことの多い賃金は「高年齢雇用継続給付金」や在職老齢年金で補うことができるが、賃金、雇用保険の給付金、厚生年金をトリプルで受け取る方法はあるだろうか? 結論は「可能だが複雑」。専門家に聞くか、会社に相談してみよう。
たとえば、50万円の収入があったのに、定年退職後の継続雇用では25万円に減ってしまったとしよう。60歳到達時賃金の61%未満にダウンすると、新賃金の15%相当額の高年齢雇用継続基本給付金を受給することができる。25万円の15%だから3万7500円もらえるわけだ。
ところが、この給付金をもらうと、今度は60歳から受給できる在職老齢年金が減額される可能性が出てくる。在職老齢年金は、賃金と年金の合計額が28万円を超えると、一部もしくは全額がカットされてしまうのだ。ここが難しいところで、このようなケースでは、在職老齢年金が一部支給カットになってしまう。最大で標準報酬比例部分の6%がカットされる。
要するに、賃金、在職老齢年金、高年齢雇用継続基本給付金の3つを同時に受け取ることは可能だが、バランスが難しいということだ。
たとえば、定年後も働き続けた場合、70歳までは厚生年金の被保険者として保険料の支払いが続くことになる。同時に健康保険の被保険者としての保険料も支払うことになる。雇い主が保険料を半分負担してくれるし、被保険者期間を延長することができて、65歳からの基礎年金受給額をアップすることができるとはいえ、負担になることは確かだ。
ただし、表のように労働時間によって、雇用保険や厚生年金に加入しなくてもいいケースもある。この例で労働時間を週20時間未満にすれば、雇用保険に加入する必要はない。その代わり高年齢雇用継続基本給付金を受け取ることができなくなってしまう。ただし、在職老齢年金を減額される可能性はない。
一方、1週間の労働時間が20時間以上30時間未満の場合は、雇用保険の加入義務が生じるために、高年齢雇用継続基本給付金を受け取ることができるが、雇用保険料を払わなくてはならない。厚生年金は加入する必要がなく、在職老齢年金減額の可能性もなく、保険料を納める必要もない。
問題は、週30時間以上働く場合で、雇用保険、厚生年金ともに加入しなければならない。雇用保険はもらえるが、年金は減額される可能性がある。このあたりの計算は複雑だから、あらかじめしっかり勉強して自分で判断するか、社会保険労務士などに相談してみるのもいいだろう。むろん、会社とも相談してみることが大切だ。
ちなみに、トリプルでもらう方法の裏技として、勤務先と相談して定年後の毎月の賃金の一部を、次の退職時に退職金としてまとめてもらうという方法もある。年金の減額は少なくなり、退職所得控除(1年につき40万円)も使えるので税制面でも有利になるメリットもある。