「高年齢雇用継続基本給付金」「高年齢再就職給付金」で
賃金の15%がもらえる!

定年退職後も、そのまま企業に残って働き続ける人が増えているが、問題なのはほとんどの場合、賃金が大きく下落することだ。そこで活用したいのが雇用保険の「高年齢雇用継続基本給付金」もしくは「高年齢再就職給付金」。60歳のときの賃金が、75%未満に減ってしまった場合、減額の度合いによって最大で新賃金の15%(61%未満に減った場合)まで段階的に補助してくれる、ありがたい制度だ。

周知のように、日本でも定年制度の見直しが行われていて、高年齢者等雇用安定法の改正によって、企業に対しては2006年4月1日以降、徐々に雇用延長が義務付けられることになった。2013年度までに、段階的に定年年齢を65歳にしなければならないのだ。

もっとも、一口に雇用延長といっても次のような3つの方法がある。

(1) 定年年齢の引き上げ
  (2) 継続雇用制度(勤務延長により引き続き雇用したり、定年退職後も再雇用するなどして雇用を継続する方法)
  (3) 定年制度の廃止

給料が75%未満になったら給付金がもらえる

給料が75%未満になったら給付金がもらえる

この3つの制度の中で最も一般的なのが継続雇用制度だ。定年退職の年齢は60歳に固定して、60歳以降は改めて雇用するといった方法。それまでと異なる賃金体系にするためだが、実際には定年退職して再雇用されたものの賃金が半分になってしまう人も多い。

また、いったん定年退職で仕事を辞め、別の会社に再就職したという人も多いが、この場合も一般的には定年退職時の賃金と同レベルの収入を得るのは非常に難しい。特殊なスキルがある、といった人は別だが、大半の人は収入が大きく減ってしまうのが現実だろう。

前述した雇用保険の2つの特典について、詳しく紹介しよう。

高年齢雇用継続基本給付金……60歳以上65歳未満の人が、定年退職後もそのまま継続して働いているケースで、60歳到達時の賃金に比べて、75%未満の賃金になってしまった人が対象。60歳到達時の賃金とは、60歳に到達した日以前6カ月間の賃金の平均(賞与を除く)で、日額に換算した「みなし賃金日額」×30(日分)。それを新しい賃金と比べればいい。

60歳以降、一度も雇用保険の基本手当を受給していないことが条件。60~64歳まで最大5年間も受給できる、かなりおいしい制度だ。

高年齢再就職給付金……原則として60歳以上65歳未満で、いったん定年で退職して、雇用保険を受け取っていてもいいが、雇用保険の基本手当の支給残日数を100日以上残して再就職した人が対象。さらに、新たに就職した会社の賃金が、就職前の賃金の75%未満であることが条件となる。基本手当の支給残日数が100日以上あれば1年間、同じく200日以上あれば2年間受給できるが、支給期間の途中で65歳になる場合は、65歳になる月までが対象である。

どちらも、被保険者期間が5年以上あることが条件になる。また、支給額と賃金の合計が33万7343円(注・毎年変わる)を超えると超えた額は支給されない。