60歳からの任意加入、再就職で厚生年金に加入で
25年の資格期間を満たす

サラリーマンなどの公的年金制度は、一階部分の「国民年金(基礎年金)」と2階部分の「厚生年金」で構成されている。この公的年金制度には「受給資格期間」があり、原則として最低25年の加入期間(受給資格期間)に1カ月でも足りないと、公的年金を1円ももらえない。

25年の期間は、国民年金、厚生年金、共済年金など公的年金に加入した期間の合計で判断する。ただし、昭和31(1956)年4月1日以前に生まれた人には経過措置があり、生年月日に応じて24~20年の加入期間でも年金を受給できるしくみになっている。また、昭和61(1986)年4月の年金制度改正前は専業主婦や学生は任意加入だったため加入しなかった人も多い。この期間に年金に加入していない人は、加入していたこととして加入期間にカウントされる。ただし、保険料を払っていないので年金額には反映されない。また、届け出をして保険料の支払い免除や支払い猶予(学生の場合)を受けた期間も、加入期間にカウントされる。

60歳を過ぎても年金に任意加入できる

60歳を過ぎても年金に任意加入できる

問題は、60歳の段階でこの25年の受給資格期間に足りない場合だが、大きく分けて3つの救済方法がある。

まずはそのまま会社に残っている人、または再就職した人は、70歳まで厚生年金に強制加入になるため、好むと好まざるとにかかわらず最高で10年間受給資格期間を延ばすことができる。

第2の方法は「65歳未満の任意加入」という方法。定年退職後リタイアしたり、自営業になった人でも任意で65歳までは国民年金保険料を納めることができる。25年間に満たない人、あるいはもう少し年金を増やしたいという人は、65歳まで加入するのもひとつの方法だ。たとえば、60歳の段階であと2年間不足している人が、65歳まで加入すれば、62歳で受給資格ができ、さらに65歳まで支払い続ければ28年間分の老齢年金を受け取ることが可能になる。

第3の方法は、65歳以降の任意加入。昭和40(1965)年4月1日以前に生まれた人で、25年の受給資格を満たしていない人は、特例措置として70歳まで任意加入が可能になっている。ただし、加入期間が25年に達した段階で終了になる。

いずれにしても、自営業の期間が長かった人などは、自分の受給資格期間がどの程度あるのか、事前に社会保険事務所で確認しておくことが大切だ。転職などできちんと記録されていないケースもあるので、一度は自分で確認しておきたい。

ちなみに、現在の国民年金保険料は月額1万4410円(2008年度)。所得が少なく納付が困難なときは「保険料免除制度」があり、障害を負っている、生活保護を受けているなどの「法定免除」と、所得が減ったなどの理由で市区町村に申し出る「申請免除」がある。免除制度には全額、4分の3、半額、4分の1といった種類があり、免除期間は加入期間としてカウントされ、払った保険料に応じて年金額に反映される。本当に厳しいときには、ぜひこの制度を利用したい。