②鬼コーチ型
とにかく業績を上げるために必死な余り、部下に無理をさせる。「残業なんて当たり前だぞ。オレの時代なんて……」という調子でサービス残業させるのも平気。そのことを上層部も知っているが、業績を上げるためには仕方がないと考えて何もしない——体育会系の部活の経験者なら、部の顧問とかOBにこのタイプがいたことを思い出すだろう。このタイプは、周りがどう思おうが自分のやり方が正しいと信じ切っている。
熱血指導は必要な面もある。しかし怒鳴ったり、残業をさせたりと行き過ぎることが問題なのである。
このタイプの上司は、自分もがんがん仕事をするので業績を上げる。会社はこの上司の仕事を評価するので少々の行き過ぎはわかっていても止めない。会社公認なので被害を訴え出た部下がかえって飛ばされることさえある。
言うことを聞かない部下を遠ざける不寛容さ
③オレが一番型
怒鳴ったり大声をあげたりはしない。しかし自分が正しいと思ったことは絶対に曲げない。
感情のコントロールを失うことはないし、熱血指導をするわけでもない。ただ何事も自分が中心にいて物を動かしたい気持が強い。自分は優秀であるという意識が強いため、他人を悪くいうことに熱心である。
また自分の考えと違うことに寛容性がなく相手を許すことがない。自分がえらいということを見せる“マウンティング”をしたがるのでお山の大将である。
このタイプも仕事ができる。もともとの自信家が業績を上げることでますます自信で頭が凝り固まってしまう。世界は自分中心に回っており、また回らないと気が済まないという性格なので人の言うことを聞かないし信用しない。
このタイプは延々と意見することが多い。それは自分が正しいことを相手への言い聞かせという形で実際は自分に言い聞かせているのである。
④好き嫌い型
部下に対して好き嫌いの感情がはっきりしていて、自分が気に入らない部下にはいじめや嫌がらせをする。
例えば、いつも自分の言うことを、はいはいと言って何でも言うとおりにする部下は大事にするが、そうでない部下に対しては、怒鳴ったり、腹いせに無理な仕事をさせたり、仕事を与えないというようないじめや嫌がらせをすることがある。
この意味では意図的なハラスメントになることが多い。ただいじめ・嫌がらせを見えない形ですることがあるので、されている方がすぐには気付かないこともある。どうも自分は嫌われているらしいということをあとから気付くことが多い。しかし確証がないので何もできないということになる。
悪質性の高い「意図的パワハラ」
⑤ストレスはけ口型
家で夫婦げんかをしたとか、ギャンブルで大損したとか仕事と無関係なストレスのはけ口として部下を怒鳴ったりする。八つ当たり型と言ってもよい。
このタイプはストレスがなければ何事もない。感情を表に出すこともない。しかしストレスの程度によっては暴力まで振るうことがある。