(B)何でもかんでもすぐに聞いてくる部下に対して、「少しは自分で考えるようにしてほしい」と考えた部長は、あえて質問を無視してみた。すると部下は毎日が不安になり、会社を休むようになった。
(A)(B)いずれのケースも部長に悪気はない。「その程度のことを問題視されても困る」と思う管理職の方は多くいるだろう。
また、これらの部長が法的な責任を問われるかといえばそうとは限らない。しかし、「結果として」部下が苦痛を感じた以上、管理職としては何らかの対策を取らねばならないだろうし、改善を考える必要はあるだろう。
たとえば(A)のケースでは「難しいようなら早めに相談してくれ」といった言葉を添えておけば結果は変わったかもしれない。
この無意識パターンは意識がないだけにこわい面がある。管理職にしてみれば白という意識と結果としての黒のギャップが大きすぎるのである。
「パワハラ上司」の6類型
この分類とは別に、パワハラをする上司の傾向は大きく分けて6つに分類できる。それぞれ見てみよう。
①瞬間湯沸かし器型
何か気に食わないことがあるとすぐにキレる。社員は報告に行く時は深呼吸して身構えてからいく。パワハラだと思うが誰も注意しない——このタイプは感情の起伏が激しい。ただカッとしなければ沈着冷静で仕事ができることが多い。管理職の場合はいわゆる外面がよい者も多く、出世している者も珍しくない。
このタイプは、感情に任せて動いているだけでパワハラの自覚がないことが多い。その意味では意図的ないじめ・嫌がらせはほとんどない。そのうえみんながこわがって近付かないのでよけいに自覚する機会がない。感情のままに対応されるのがこわいので会社の上の方も言いたがらない。
このような瞬間湯沸かし器のタイプはあまり見かけなくなったかもしれない。昔はともかく、世間でこれだけハラスメントのことがいわれていると、感情のまま怒鳴り散らすようなパターンは減っているように見える。
熱血指導も、行き過ぎは問題だ
そうはいっても、部下を怒鳴って会社を大きくしたというようなたたき上げのワンマン社長が今も社員を怒鳴り散らしているという例はみかける。
もう一つよく聞くのは、若いころはそうでなかったが年と共にすぐカッとなるようになってきたという場合だ。キレる老人とか暴走老人とまではいかなくても以前ほど寛容性がなくなってきたということはよく聞く。それが仕事に出てくるとこのパターンになる。