「友人同士はすぐ退去する」は本当なのか

メンバーが集まってから、各自の希望を出し合って物件探しをスタートさせた。

だが、予想はしていたものの「ルームシェア可」物件は少ない。2人でも少ないが、4人となるとさらに激減する。基本的に不動産サイトの備考欄に「ルームシェア可(あるいは相談)」とある物件でないと、ほぼ門前払いである。そういった記載のある物件でも、フリーランスNGだったり、兄弟や姉妹のルームシェアじゃないとダメだったりと、さまざまな制約があったのだ。

点線で分けられた住宅
写真=iStock.com/Andrii Yalanskyi
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当時やりとりをした不動産業者の話によると、「友人同士だと、すぐトラブルになって退去してしまう」というのが大家と業者側の理屈だという。戸籍が同じならもめ事が少ないというのなら、世の中はこんなに離婚であふれていないだろうし、逆に他人同士でも長続きするケースだってあるはずだ。現にわれわれの暮らしは継続している。

その後、4人がかりの不動産サイトローラー作戦により、奇跡的に自分たちの希望に沿う物件に出会い、無事審査も通過し、晴れてルームシェア生活が始まった。

家族じゃないからこそうまくやっていけている

住んでいる人の構成は、私をふくめてフリーランスが2名、会社勤めが2名。この編成は、生活をまわすのにバランスが良い。例えば会社員組が不在の間の宅配便の受け取りは在宅フリーランス組が行い、帰宅時に会社員組が駅前のスーパーで買い物をするなど、「持ちつ持たれつ」の関係が出来上がっている。4人もいると、誰かが出張やオタク趣味の遠征(※ライブや観劇の地方公演に行くこと)で家をあけても、誰かしら家に残っているので、防犯の面でも心強い。

もちろん、常に人がいるというのは、メリットでもありデメリットでもある。誰かに話を聞いてほしいときもあるし、1人になりたいときもある。おのおのの個室があるので、最低限のプライバシーは確保されている。どうしても1人になりたいときは、24時間営業のファミレスなどにいけばいい。

「家族じゃなくても暮らせる」というよりは、家族じゃないからこそ、ほどほどの距離感でうまくやっていけている。オタクらしく(?)『鬼滅の刃』を共有費で購入したり、推しコンテンツの上映会をすることもあるが、皆それぞれ推し活動や仕事に忙しいこともあり、連絡事項はLINEのみ、ほぼ対面会話のない時期もある。これがかなり快適で、われわれに合っている生活である。