増え続けるグッズで自宅が狭くなる

藤谷千明『オタク女子が、4人で暮らしてみたら』(幻冬舎
藤谷千明『オタク女子が、4人で暮らしてみたら』(幻冬舎)

書籍やグッズなどを収集するオタクにとって、住宅事情は常に悩みの種だ。収納たっぷりの広い部屋に住みたいが、都内の家賃は高い。都心を離れれば家賃は下げられるとわかっているが、ライブや演劇、同人誌即売会などのイベントごとはほぼ都内で行われるため、そうした利便性は維持したい。

同じような悩みを持つ友人たち3人が、私の提案に乗ってくれた。それぞれ少年マンガやコスプレ、アイドル、2.5次元舞台などを愛好するジャンル違いのオタクたちだ。

家族や恋人などの「明確な関係」に基づいた同居を選択しなかったのは、過去にそれで何度か失敗をしているからだ。むしろ強い感情が介在しない関係、例えば「年単位でつながっているSNSのフォロワー(※何度か面識あり)」同士のほうが、私の場合、うまくいくような予感がしたのだ。そしてその予感は、今のところは的中している。

「金銭感覚、衛生観念、貞操観念」が肝

「そんな関係で大丈夫か?」という声も聞こえてきそうだが、こちとら骨の髄までインターネットに浸かったオタクである。10年近くアカウントを見ていたら、その人の表裏がすべてわかるとまでは言わないが、何を大事にしているのか、何に対して苦手意識を持っているのか、人格の輪郭くらいは判断がつく……と、勝手に思っている。

とはいえ、「誰でもいい」というわけでは当然ない。ある程度の価値観は近い人でないと、トラブルのもとになるだろう。

例えば、金銭感覚がある程度一致してないと、日用品や食料品を選ぶときに誰かが我慢を強いられてしまうし、衛生観念がバラバラだと掃除の頻度などにバラツキが出てしまう。ほかにも、すぐ恋人を家に連れ込むタイプとそうでないタイプの同居も、あまりうまくいきそうにない。そういった貞操観念も近しいほうがいいのではないだろうか。以上の3点については、事前に確認を行った。