(2)「信頼」に基づく人間関係を築く

人間関係は交渉にとってもリーダーシップにとっても等しく重要だ。人間関係とは知覚された人と人とのつながりであり、心理的つながりの場合もあれば、経済的、政治的、あるいは個人的つながりの場合もある。つながりの基盤が何であれ、賢明なリーダーは優れたネゴシエーターと同様、強いつながりを築こうとする。良好な人間関係が重要なのは、それが温かいほのぼのとした感情を生み出すからではなく、他者から望ましい行動を引き出すための重要な手段、つまり「信頼」を生み出すからだ。

交渉や会議で、あなたに提案された行動がリスクをともなうものである場合を考えてみよう。自分の信頼する相手から提案されたときのほうが、その行動をよりリスクが少ないとみなし、したがってより受け入れやすいとみなすはずだ。

パートナーや顧客やサプライヤーと永続性のある関係を築くときと同様、自分に従う側の人々と効果的な協働関係を築くときにも、次の4つの構成要素が役に立つだろう。

・情報がどちらの方向にもすんなり流れるような双方向のコミュニケーション
  ・自分に従う側の人々の利益に対するリーダーの強いコミットメント
  ・リーダーが予想どおりの行動をとったり、約束やコミットメントを守ったりすることで示す信頼性
  ・従う側の人々が組織に対してなす貢献に対する敬意