言葉が増えて、2語文が出るようになった

そして再診の日がやってきました。私は二人に椅子に座ってもらいました。

「お母さん、どうですか? カッ君の様子は?」
「それが先生、言葉が増えてきたんです。2語文が出るようになりましたし、3語のこともあるんです」
「それはよかった。どう、カッ君、療育の○○に行くのは楽しい?」

するとカッ君は席を立ち、またもや隣の部屋へスタスタと走り去っていきました。このあたりの落ち着きのなさはあまり変わりません。

「じゃあ、このまま療育を続けてみますか? 場合によっては、千葉市療育センターに紹介状を書いて、専門の先生に一度診察してもらおうかと考えていたんです」
「そこへ行くと何かできるんですか?」
「専門家のコメントがもらえるということと、もし希望があれば心理検査を受けることができます。知能検査とはまた別で、発達の程度を評価するんです」
「そうですか。でも、私たちは今の状態で満足しています。幼稚園でもお友だちと仲良くしているし、言葉も増えてきたので、このままようすを見てみます」
「分かりました。もうそろそろ3歳児健診ですね。そのときにまた話しましょう」

カッ君の成長はこれからも見守る必要があります。カッ君には不得手な部分もありますが、それ以上に十分な伸びしろがあるように感じられました。

幼稚園生活が、微妙になってきた

そして3歳7カ月になり、カッ君は私のクリニックに健診にやってきました。身長と体重、そして頭囲を測定してから、カッ君は私の目の前の椅子に座りました。

私が大きな声を上げます。

「こんにちは!」
「……」

返事はありません。

「お名前は?」
「……」
「何歳?」

3本の指を出します。私は、分かったよというようにその手を握りました。

「お母さん、カッ君、自分の名前は言えますか?」
「ええ、いつもは言えるんです」
「はっきりと?」
「それがちょっと、ゴニョゴニョと」
「分かりました。ところで、幼稚園の生活はどうですか? みんなと遊んでいますか?」
「ええ、今のところは大丈夫みたいです」

しかし、その後のカッ君の幼稚園生活は何とも微妙になっていきます。年中さんとして幼稚園生活を送るカッ君は友だちと遊ぶことができました。だけど、時々おもちゃの取り合いで喧嘩になってしまい、自分の思い通りにならないと激しいかんしゃくを起こすようになりました。言葉よりも手がすぐに出てしまうという感じです。