全国に約4700カ所ある児童発達支援事業所

療育を行ってくれる児童発達支援の施設が千葉市には59カ所あります。かかりつけ医が意見書を書くと、受給者証が発行され家族は1割負担で通所施設を利用できます(2019年10月からは、3歳から就学までの子は無償化された)。こうした児童発達支援事業所は全国に約4700カ所あります(2017年1月現在)。

カッ君の場合、発達が促されればそれでいいし、伸び悩むなら改めて専門機関に紹介状を書けばいいのです。

「じゃあ、お母さん、3歳児健診には集団と個別がありますから、個別の健診をうちで受けてください。そのとき、また相談しましょう」

3歳児健診は、名称は3歳ですが、個別にクリニックを訪れるのは3歳半を過ぎた頃です。次に会うのは風邪でも引いて受診しない限り、6~7カ月後だと私は思いました。

「療育を受けられるなら、受けてみたい」

しかし1週間もすると、お母さんはカッ君を連れてやってきました。

「先生、主人と相談したんですけど、やはり言葉が気になるって主人も言うんです。療育を受けられるなら、受けてみたいんです」
「分かりました。いいですよ。意見書を書きましょう」

私は電子カルテに向かいました。診断名を「言語発達遅滞 発達障害の疑い」と書き、カッ君の特性を整理して記入し、最後に「療育が必要と判断します」と書いて締めくくりました。

「この意見書を持って保健センターに行ってください。保健センターでは、障害児相談支援事業所という組織をまず紹介してくれます。その相談所で、カッ君にふさわしい療育の施設をお母さんと一緒に探してくれます。ただ、相談支援事業所は数が少なくて、ひと月近く順番待ちになるかもしれません。療育を受ける事業所が決まったら、受給者証が発行されますから、それを使って言葉の療育を受けてください」

こうしてカッ君の療育が始まりました。私はお母さんに、「6カ月後に再診して、その後、どう変化したか教えてください」と言い添えました。