「リモートワークの人材派遣」はニーズがなかった

リモートワークを当たり前にしたい。その思いで動き始めたキャスターですが、ミッションを実現するための事業作りは一筋縄ではいきませんでした。

最初に思いついたのは、「リモートワークの人材を派遣する」という人材派遣業でした。顧客企業の業務をリモートワークで担当してくれる人を募集し、マッチングさせていくというアイデアです。

しかし、この構想はすぐに継続不可能だと思い知ります。理由は単純。「リモートワークの人材を派遣してほしい」と考える会社が、ほとんどなかったから。

市場にはすでに、オフィスなどのオフラインの現場へ人材を派遣してくれるサービスが浸透しています。「同じようなスキルなら、出勤してくれる人のほうがいいよね」となってしまうのです。

リモートワークの人材を自分たちで雇用する

そこでキャスターは、自分たちでリモートワーク人材を雇用することにしました。在宅のままでも正社員として働ける環境を作ってしまったわけです。

人事のパズル、最後のピースをはめる
写真=iStock.com/tadamichi
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次に、雇用した人たちに活躍してもらうため、企業から「オンラインアシスタント」の業務を請け負う事業を始めました。

担当できる業務は、多岐にわたります。秘書としてメール返信やスケジュール調整など日々のタスクを担当したり、採用を手伝ったり、経理記帳や請求書発行などのお金まわりの事務をこなしたり、ウェブサイトの運用代行や制作を引き受けたり……。

こうした業務に、キャスターでリモートワークをする人材が対応していきます。このサービスはおかげさまで評判を呼び、「キャスタービズ」として現在の基幹事業となっています。