会社は個人の邪魔をしないことが一番大切

「リモートワークを当たり前にする」というミッションを実現するために走り続け、気がつけば、全国各地にバラバラに居住する700人が所属し、リモートワークで働く会社になっていました。

私はよく、「会社は個人の邪魔をしないことが一番大切」だと話しています。

友人同士で、空のプラカードを掲げている
写真=iStock.com/Rawpixel
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できるだけシンプルな人間関係で働きたいと考える人がいる一方で、いろいろな人と話したり飲みに行ったりというウェットな環境で働くのが好きだという人もいますよね。成長のためにどんどん新しい仕事に挑戦したいと考える人もいれば、とにかく待遇や勤務条件が安定してさえいればいいという人もいます。

そうした個々の理由に対して、会社が1つの枠や考えを押しつけることはしません。そのほうが、多くの人にとって「ここにいることが心地よい」という状態を作れるからです。キャスターで働くそれぞれの理由を邪魔しない、ということです。

決まった場所に集まって働く会社組織には「暗黙のルール」や「共通の価値観」のようなものも生まれがちですが、そこからはみ出してしまう人、当てはまらない人は得てして居づらくなってしまうということが起こります。

結果として多様性を受容できず、排除してしまうようでは、本当のところは組織として弱いと思いませんか──? というのが私たちの考え方なのです。

そもそも、なぜオフィスで働かないといけないのか?

コロナ禍の真っただ中でも、リモートワークを導入できないオフィスワーカーはいました。また、緊急事態宣言が解除されるとほぼ同時に、オフィスへ呼び戻された人も少なくありません。

しかし、そもそも、「なぜ、オフィスで働かなければならないのか」「なぜ、オフィスへ戻っていかなければならないのか」。この素朴な疑問に、答えられますか?

私は社外の人に対して「オフィスにいなければできないことって、何があるんでしょう?」とよく尋ねますが、納得できる明確な答えが返ってきたことはありません。かろうじて耳にするのは、「空気感の共有」でしょうか。空気を読む、察して動く……。

人間は文字情報だけではなく、視覚や触覚などさまざまな感覚器官の機能を使って物事を判断しているので、その一部が遮断されることで不安になる気持ちは、よくわかります。しかし、リモートワークでもコミュニケーションがとれなくなることはないし、空気感を共有できなくなるわけではありません。