オンラインアシスタントを必要とする「ニッチ」がたくさんあった

2014年の創業当時、既存のBPOサービスは大企業を主な対象とするものばかりでした。渋谷などの都心部に本社を構え、高い家賃を払い、顧客への単価設定も高額になりがちで、そのため必然的に大企業をターゲットとせざるを得なくなっていたのでしょう。

それに対し、キャスターのオンラインアシスタントは、既存のBPO会社であればとうてい成し得ない、「小さいロット(稼働する時間)」で仕事を受注していきました。いわゆる「ニッチ」がそこには存在していて、結果として、「時給換算すると高単価。でも提供するロットが小さいため、クライアントが支払うのは月額10万円程度」というBPO事業を作ることができました。

全員がリモートワークであれば広いオフィスは必要なく、人材募集のしやすさや通勤の利便性を考慮して都心部に本社を構え、高額な家賃を支払う必要もありません(実際にキャスターの本社所在地は、宮崎県西都市です)。

中小企業は「ちょっとだけ手伝ってほしい」

加えて私たちは、中小企業やベンチャーならではのニーズがあることにも気づきました。小さな組織では「フルタイムの人材までは必要ないけれど、ちょっとだけ手伝ってほしい」という微妙な段階のニーズがたくさんあるのです。

私は以前、働き方ファームという会社を一人で経営していたので、「ちょっとだけ手伝ってほしい」という経営者の気持ちは手に取るようによくわかります。そこから、「月に30時間だけ業務をお手伝いする」といったサービス形態が生まれました

また、中小企業は業務を外部に依頼すること自体の経験が乏しく、最初はなかなかオンラインアシスタントに的確な指示を出せないもの。

そこで、担当者をその企業専属にして、チャットでいつでもコミュニケーションができる状況を作りました。社員と同じように接し、同じように仕事を依頼することができる。違うのは、その人がオフィスにいるのか、自宅などの離れた場所にいるのか、という点だけ。

このようにして、「リモートワークを当たり前にする」というミッションの実現を目指し、場所にかかわらず働ける人を増やすために、キャスターは事業開発を進めていきました。