「問い」を聞いてすぐさま意見を3つ以上出せるか

例えば、「職場の“あるべき姿”を教えてください」と聞くと、一瞬、「ん? あるべき姿?」と立ち止まってしまいますよね。

でも、「“こんな職場だったら最高!”というのを教えてください」と聞いたら、「最高? そりゃ、残業が少なかったらいいよなあ」「部署のメンバーがみんな潑剌はつらつとして仲が良い環境だったら最高」「やったことが正当に評価されたらすごくうれしいな」という具合にポンポン出てきませんか?

問いを立てるときはここがポイントで、みんなが最低3つぐらいの意見をポンポン出せるような問いであれば、「いい問い」と言えます。

難しければ、“自分がその「問い」を聞いてすぐさま意見を3つ以上出せるか”を考えてみてください。

会議室
写真=iStock.com/Evening_T
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こんな感じで問いを立てて、自分でも答えを考えてみて、どれがよりたくさんの意見が出そうな「問い」かを考えていけばいいでしょう。

「いい問い」の目安は、「問いの中に問いが含まれていない」こと。

「会社のあるべき姿を教えてください」という問いを立てたときに、参加者の中から、「あるべき姿って何ですか?」という“新たな問い”が出てきたら、その「問い」は「いい問い」ではないと言えます。

「“こんな職場だったら最高だな”というのを教えてください」という問いからは、新たな問いが生まれるとは考えにくいですよね。「問い」は分かりやすく、かつ、シンプルにいきましょう。

「問いの抽象度をコントロールする」ことも頭に入れておく

もう1つ、ファシリテーターが「問い」を考えるときに注意したいのが、抽象度の高低です。例えば、以下で比べてみましょう。

「会議で困っていることを教えてください」
「経営会議で困っていることを教えてください」
「経営会議の進行部分で課題と思っていることを教えてください」

この3つでは、抽象度がまったく違いますよね。下の「問い」にいくほど抽象度は低い、すなわち具体性が高くなります。

「問い」を立てるとき、必ずしも具体性が高いから「いい問い」とは限りません。その逆も然り。抽象度が高いから「いい問い」とも限りません。

ならば、どちらにしたらいいのかと言えば、そのときどきの会議により、「どちらのほうが、よりテーマに合った意見を拾えるのか」を考えてみてください。具体性のある意見を拾いたいなら抽象度が低めの「問い」を立て、自由に意見を述べてもらいたい場合は、抽象度が高めの「問い」を立てれば良いのです。

「経営会議の進行部分の課題について教えてください」と抽象度は低く具体性のある「問い」を聞けば、「ああ、進行についてピンポイントな意見を言えばいいんだよね?」と思い、その範疇で意見を述べますよね。

反対に、「会議で困っていることを教えてください」という抽象度の高い「問い」であれば、「困ってることね。話し合いの結論がいつも出ないことがストレス」「上司がいると自分の意見を言いにくくて困る」「時間が長くなりがちで困る」などいろいろな会議を想定した自由な意見が出ます。

ファシリテーターになりたての頃は、「問いの抽象度をコントロールする」といっても難しいと思いますが、頭の片隅に入れておいてください。