他国と比べ、高止まりしている日本の通信費家計負担

実際のところ、携帯電話などの通信料の家計負担は海外と比べて、重いのか、重くないのか。この点に関する客観的な統計データを調べてみよう。

図表1は、OECDのSNA(GDP統計)データベースを使い主要先進国の家計における通信費支出割合の推移を示したものだ。他国との比較でしばしば利用される内外価格調査は、同品質の商品、同種の購入先など同じ条件で比較する必要がある。そのため物財の場合はともかく、サービスの場合は、基準の設定次第で恣意的な結果に陥りやすい。そこで、今回は国際基準の統一分類で作成されているSNAベースの統計で対GDP比の値を採用した。

では各国の推移について、見ていこう。

主要国の中で最も重たい日本の通信費負担

通信費は防衛費の2倍「主要先進国の中で最高」

グラフを詳細に確認すると、各国で、情報通信革命に伴い、家庭にもネットが浸透した結果、1990年代前半までと現在とでは、家計の通信費の対GDPレベルが0.5~1%ポイントほど上方にシフトしている様子が如実にうかがえる。

この上方シフトの過程には一般に2つの特徴が見て取れる。

すなわち、上昇が1995~2005年の時期に集中して起こった点、および韓国に典型的に見られるように、いったん高騰した通信費が再度低下するという逆V字カーブ的な動きが見られた点である。

日本の場合は、全体として通信費の上昇幅が大きく、現在は2%前後とっている。日本の防衛費は「GDP比1%」とされるが、その基準でいくと、家計の通信費負担だけ(企業負担の通信費を除く)で防衛費の2倍に達し、主要先進国の中で最高となっている点が目立つ。

また、例外的に逆V字カーブ的な動きがなく、通信費負担が高止まりしている点が特徴的である。諸外国と比較すると日本の通信費負担はGDPの0.5%以上高くなっており、その分の超過負担が消費者に生じていると判断できる。通信費は他の先進国より「防衛費の半分ぐらい割高だ」と言うことができる。