役員会議こそリモートに切り替えるべき理由

業務を改善する際、私はよく「主観と客観の両方を持ちましょう」と言います。

「会議時間が月に20時間におよぶ」「20人が会議に参加している」のは客観的な事実です。それが「良い」「悪い」などの判断はデータが示してくれるわけではありません。

なぜ、会議時間が月に20時間におよぶのが問題なのか。
どうして、20人が会議に参加しているとマズイのか。

こうした問いに答える「主観」も必要です。

たとえば、私は常々、「役員会議こそ会議の面積を減らした方がいい」「リモートに切り替えた方がいい」と主張しています。それは、その場にいない部下たちの時間をも消費するからです。

役員会議を開催する場合、部長クラスが同席する場合も多く、どうしても人数が増えがちです。会議のコストもさることながら、役員や部長クラスが会議室に閉じこもり、何時間も音信不通になると、部下たちの「待ち時間」が発生します。

部長の承認を得なければ営業先に答えられない案件があったり、突発的に起こった問題に対して判断を仰ぎたい場面など、意思決定者の不在はそれだけで部下の時間を奪います。これがせめてリモート会議なら、会議中でも「ちょっと緊急の案件なんですが」と部下も声をかけやすくなります。

主観に対して客観的なデータを付ければ議論しやすい

「上司の不在を生んでいる会議」は、こうした多くの弊害を同時に発生させているからこそ改善が必要で、改善した際の影響も大きいのです。

こうした一つの「主観」に対して、「役員会議の総時間」「参加人数」など具体的なデータが付加されると、問題が見える化され、議題としてテーブルにのせやすくなります。

沢渡あまね『職場の科学』(文藝春秋)
沢渡あまね『職場の科学』(文藝春秋)

これが「主観」と「客観」の両輪です。

「仕事の見える化」に対して「言える化」と私は表現していますが、客観性を持たせることで、起こっている問題をきちんと言えるようになるのです。

「こんな問題が起こっている」「これは問題だから改善したい」は主観です。それを裏付けし、組織を動かすために必要なのが「客観」です。「主観なき客観」は弱いですし、「客観なき主観」もまた説得力がありません。

まずはマイクロソフトのように会議を定量的に見える化をし、「負荷の高い会議」を洗い出すのもよいのではないでしょうか。問題の「言える化」につながるはずです。

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