最も大事なのは「成果物」に対する到達度
3つ目は「成果物」。その会議が終了したときに「参加者がどういう状態になっているのか」、その終了状態、完了状態を決めておきます。漠然と「予算案についての会議」ではなく、「予算案の2つのオプション案を決める」などのように、具体化しておきたいです。
マイクロソフトでは、大規模な会議や勉強会では、効果測定や次回に向けた改善のためのアンケートを採っていますが、その際もっとも大事なのが「成果物」に対する到達度ではないでしょうか。
4つ目は「関係者」です。成果物を出すために必要な参加者は誰か。あるいは、有効なインプットを与えてくれる人は誰か。その視点で「関係者」を決めていく。関係者の選別の意識を持つと、何より、不要な人を排除できます。「大人数の会議」はモチベーションを落とし、生産性も悪い。会議から不要な人を除くのは重要、かつ効果的です。
5つ目は「効率」です。所要時間のセット、時間内に終わらせるための工夫、「わかりやすい発言ができているか」など、効率化につながる要素はたくさんあります。議事録を定型化するのも一つの方法です。こうした部分をあらかじめ決めて、共有しておく。それだけでも会議の効率は上がります。
まずは部署内の定例会議など、「身内」で日常的に行っている会議から、この5つの視点で見直してみてください。そして、できるところから改善していってください。
「人数×時間」を見える化してコストを減らす
会議の面積を減らす。これは私が言い続けている表現ですが、「会議の面積」とは「人数×時間」。多くの人が参加している会議が、長時間続けば、それだけ面積は大きくなります。日本マイクロソフトでも「負荷の高い会議」との表現で、同じ視点のデータを取っています。
図表3では、組織ごとに「1回あたりの会議時間」「会議の参加人数」「繰り返し会議の割合」を示しています。
たとえば「組織A」では、1時間以上の会議が30%行われており、19人以上が参加する会議は40%近く。他部門と比較して「会議の面積」がいかに大きいかがわかります。
こうしたデータをはっきり見せられると「ウチは2時間以上の会議がこんなに多いのか……」「参加人数を減らした方がいいかもな……」などと感じるでしょう。
さらに図表4は製造業事例のデータですが、「会議に何時間(年)かかっているのか」と「人件費がいくらになるのか」を調べたものです。
会議が1年に30万時間、人件費は34億円かかっている事実がわかります。数字だけを見てあれこれ評価してもあまり意味はありませんが、膨大な時間とコストがかかっているのは明らかです。
コスト削減の観点からも、「会議の面積」の削減は有効なアプローチの一つです。