日本マイクロソフトは2019年夏に「週勤4日週休3日」を実施した。なぜそんなことができたのか。業務改善士の沢渡あまね氏は「大企業だから実現したわけではなく、自分たちの『勝ちパターン』を模索し続けてきた結果だ」と指摘する――。

※本稿は、沢渡あまね『職場の科学』(文藝春秋)の一部を再編集したものです。

オフィスのデスクで空の椅子とデスクトップPC
写真=iStock.com/Portra
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ただ休みを一日増やしただけではない

2019年夏、日本マイクロソフト(以下、マイクロソフト米国本社やマイクロソフトの世界各国の法人で共通の場合は「マイクロソフト」と記載)は「週勤4日週休3日」を実施して、世間の注目を浴びました。

日本マイクロソフトにしてみれば「それは取り組みの一つであって、週休3日だけを過剰に話題にしないで欲しい」とのことでしたが、やはり「週休3日」が世間に与えるインパクトは絶大でしょう。

もちろん、彼ら/彼女たちはただ休みを一日増やしただけではありません。この取り組みは「ワークライフチョイス チャレンジ2019夏」の一環で、

●月あたりの就業日数25.4%減(2018年8月比)
●月あたりの印刷枚数58.7%減(2016年8月比)
●30分会議の実施比率46%増(2018年8月比)
●リモート会議実施比率21%増(2019年4~6月比)
●1日あたりのネットワーク数(人材交流)10%増(2018年8月比)

などさまざまな成果を得ました。

ペーパーレス化、リモートワークの活用、1時間以上の会議から30分会議への移行、積極的な人材交流などによって労働生産性を上げているのです。

そうした取り組みの一つが「週勤4日週休3日」でした。

もちろん、日本マイクロソフトの取り組みがあらゆる企業にとっての正解ではありません。「勝ちパターン」は業界によっても、企業や部署によっても、個人によっても異なるでしょう。

自分たちの勝ちパターンを模索し続けてきた

大事なのは、それぞれの勝ちパターンを見つけ、実践すること。それも「今」の時代や状況に即しているものでなければなりません。

今、多くの業界、企業にとって「勝ちパターン」の過渡期にあることは明らかです。残業時間を減らす、ペーパーレス化、リモートワークを活用するなど、さまざまな取り組みを急速に進めている企業、部署も多いでしょう。

もちろん、そうした「部分の改善」も大切ですが、もっと大きな視点で、時代や状況に即した「自分たちの勝ちパターンとは何か」を考える。これがもっとも重要です。

日本マイクロソフトが行っている取り組みも、今の時代における自分たちの勝ちパターンの発見と実践にほかなりません。