彼ら/彼女たちは、政府が「働き方改革」を掲げる前から「ワークスタイル・イノベーション」を始め、自らの勝ちパターンを模索し続けてきました。

特別な取り組みをしているのではなく、時代が変わり、産業構造が変わり、人の意識が変わり、企業としての事業を変えていく必要に迫られるなか、客観的に勝ちパターンを模索し、トライしてきました。

斬新な改革を支えた「3つの取り組み」

日本マイクロソフトの取り組みの本質は、次の3つに集約されます。

●働き方の見える化(ホワイトカラーの働き方の見える化)
●コラボレーションを本気で促す
●選択肢と多様性を保証する

マイクロソフトでは「マイアナリティクス」と「ワークプレイスアナリティクス」という自社システムを使って、いわゆるホワイトワーカーの働き方をデータ化し、見える化しています。

「マイアナリティクス」とは個人の行動、働き方をデータ分析したものであり、「ワークプレイスアナリティクス」(図表1)は部門、チーム全体の動きを分析したものです。

ワークプレイスアナリティクスで分析できること

たとえば、「この一週間に働いた時間」「何本のメールを出したのか」「メール作成に使った時間」「相手は誰なのか」「そのメールはどのくらい開封されているのか」「どの会議に、何時間参加したのか」「社内での活動時間と社外での活動時間」「その週に交流した人数や相手の属性」「誰にも邪魔されない集中タイムがどれくらいあったのか」などさまざまなデータを取り、分析して個人の働き方を「見える化」しています。

そもそも仕事ぶりを数値化するのは難しい

このデータをチームや部門に転換すると、部門として「勤務時間外にどのくらいメールを書いているのか、読んでいるのか」「チームとしての平均会議時間」「会議の参加人数」「上司が参加している会議の比率」「意思決定者が二階層以上参加している会議」「チームのメンバーが、どれくらい他部署の人、他社の人と交流しているのか」など、チームや部署としての特徴を見える化できます。

これが「マイアナリティクス」と「ワークプレイスアナリティクス」です。こうしたデータをAIが分析し、個人やチームにフィードバックすることで、行動特性や傾向の理解・気づきを促し、改善ポイントの発見を促すことができます。

もちろん、こうしたデータ分析が個人やチームの「仕事ぶりのすべて」を表しているわけではありません。何かしらの「正解」や「善し悪し」を示してもいません。

そもそもホワイトカラーの仕事ぶりを完璧に数値化、見える化するのは難しいものです。パソコンに向かっていても、周囲からは何をしているかわかりませんし、カフェに行ってぼんやりしているように見えても、ものすごくクリエイティブな作業をしている可能性もあります。