日本の企業では人数が多く、長時間におよぶ会議が少なくない。一方、日本マイクロソフトでは、2019年夏に「30分会議」の実施比率を46%アップさせた(前年同月比)。なぜ実現できたのか。業務改善士の沢渡あまね氏が解説する——。

※本稿は、沢渡あまね『職場の科学』(文藝春秋)の一部を再編集したものです。

会議やセミナー中にノートパソコンでタイピングをしているビジネスマンの手
写真=iStock.com/zoff-photo
※写真はイメージです

21人以上の会議は帰属意識を低下させる

「21人以上の会議」に参加する機会が多い人は帰属意識が低くなる。加えて、イノベーションは起こりにくく、組織力も弱いと感じているというデータがあります(図表1)。各人がどの会議に参加したのかや、その会議の参加人数は自動的に算出されます。

【図表】モチベーションを下げる会議の傾向
沢渡あまね『職場の科学』より

この調査は「あなたはこの会社にあと何年いたいですか?」「同じ待遇で誘われたら、よその会社へ行きますか?」などさまざまなアンケート結果を踏まえ、分析された内容です。

ちなみに、日本マイクロソフトはグローバルのマイクロソフトの平均に比べ、会議にかけている時間が17%多く、参加人数も11%多いとのデータがあります。そのほかにも1週間におけるミーティングにかける時間が長い組織ほど、会議中の内職(マルチタスク)が多いというデータもあるようです(図表2)。直感的になるほどと思える内容ですが、データ化されるとムダな会議を減らす必要性が理解できますね。

【図表】会議の負荷の大きさと質の低さ
沢渡あまね『職場の科学』より

この結果を踏まえて、日本マイクロソフトでは、昨年夏の「週勤4日週休3日」のチャレンジにおいて、「会議は基本30分以内」「人数は多くて5人」とする取り組みを進めました。

結果、前年同月比で「30分会議」の実施比率の46%アップに成功しました。

「30分会議」はなぜ効果的なのか

これらのデータを見ると、「大人数」「長時間」「繰り返し」(定例会議のようなもの)の会議は、おしなべて社員のモチベーションを下げ、組織に対する信頼感を失わせているようです。

「30分会議」は効果的です。